「それはそれ これはこれ」

essay

こちらは京都大学11月祭で過去に採用された統一テーマの一つ。

そもそも”どーでもよい”統一テーマに選ばれるような言葉ですから、適当でいかにも僕好みの言い回しなのですが、この言葉を意識しておくと、

議論のポイントを適切に分解できたり論点を混同せず本質をつかみやすい

そんな意外な効果があるように思うんです。

例えば…

例1:山中教授ノーベル医学生理学賞受賞と報道

ちょうど僕がギリシャ旅行へ行っているときに発表されたニュース。日本人としてとても誇り高く感じた素晴らしいニュースでしたが、なぜだか帰国するとiPS移植誤報のニュースばかり。

その後、別の第三者がその誤報を過度に非難し続けたり、あるいはマスコミ側もその成果が捏造だとわかるや否や、一方的にその氏自体の捏造疑惑にとどまらず人格攻撃的な報道が繰り返される事態も発生。さらにはそのような報道が連日なされることについて、ネットなどでは「マスコミは相変わらずレベルが低い」的な意見も多く出ました。

確かに捏造も誤報もよくないです。それ自体はきちんと原因を調査して今後そのようなことが起こらないよう徹底すべきだし、誤報自体が非難されることはやむを得ないことでしょう。また、必要以上に個人を攻撃する姿勢は望ましくないという気持ちもよく理解できます。

さらに最近では、閣僚から「洗濯機を送る」という事に対しての賛否両論が飛び交いました。

が、しかし、

山中教授の素晴らしい成果に対し正当に評価している多くの機関や多くの人々がいる。

という事実に変わりはないわけです。

例2:橋下大阪市長と週刊朝日

週刊朝日の特集をめぐる橋下市長の朝日グループ取材拒否問題。この個人的blogではあまりこうした政治的、人権的な問題は取り扱いたくないのですが、これもひとつの良い例と思ったので触れて見ることにします。

どういう騒動か、その内容についての記述は省略しますが、予想通り、当初橋下さん自身が主張した人権的な問題に関していろいろな意見が出てきているようです。

例えば以下のコラム。

週刊朝日は謝罪すべきではなかったし、連載を続けるべきだった(橘玲) – BLOGOS(ブロゴス) http://blogos.com/article/48722/

こちら、きちんと読んでいませんが、きっとそれなりにこのコラムの主張には説得力があるのでしょう。

が、しかし、「属性攻撃は説得力を下げる – モジログ」 でまさにおっしゃている通り、

相手のイメージダウンを狙った属性攻撃は、むしろ属性攻撃している人の品位を疑わせ、その主張の説得力を下げてしまう。

という事実に変わりはないわけです。

例3:ZOZOTOWN社長の発言

ちょっとネットローカルな話題だと思われますが、ここ数日でネット話題にZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイ前澤友作社長のTwitter炎上状態になっているみたいです。

ヤマトの宅配会社の人が、汗水たらして運んでいるのは忘れてはならない事実 – 脱社畜ブログ http://dennou-kurage.hatenablog.com/entry/2012/10/21/115725

確かにこちらの運送会社には僕も日頃からとてもよくお世話になっており感謝の念に耐えません。ですので、この社長さんがおっしゃることもよくわかります。

しかし一方で、あのAmazonも努力してこの汗水たらして働いているフィーを何かしらの効率化でもって捻出しているわけですから、それはそれで評価もできますし、そんなAmazonのサービスを当然と思ってしまいついつい文句を言ってしまった消費者の方の気持ちもわかります。

が、しかし、

公共の場、SNSでの他人に対する罵詈雑言はよくない。

という事実に変わりはないわけです。

「それはそれ これはこれ」なのです。

たとえどのような報道や考えがされようとも、「これ」を意識しておけば様々な見解に対して「そこそこ」余裕を持って振る舞うことができると思っています。

タイトルとURLをコピーしました