まもなく3年 iPhone -決断のきっかけは"Skypeがつかえるかどうかということだった-

AppleiPhone

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iPhoneにしたのは、ちょうど3年前の2月でした。まもなく4年目に突入です。

この3年間の変化というものは本当に大きい。

このたった手のひらサイズの小さなデバイスを手にした当時、ここまで考え方からライフスタイルまで僕にとってこんなにも影響を与えるとは想像すらできませんでした。

iPhoneにするまで僕はDocomoユーザーでした。Docomo歴もかなり長くなっていたと思います。

というわけで、iPhoneにするにあたり、メアド変更などいくつかの悩みもありましたが、当時の日記を読み返すと、決断した最大の理由は「Skype」だったようです。

実はものすごく悩みました。ドコモからもいろいろとスマートフォンが出ているし、今日に至っては欧米で大人気のブラックベリーが出るし、その他ウィンドウズモバイル搭載の携帯もあるし。

決め手はいくつかありました。

1つ目は、Googleリーダーが読めること。きっとブラックベリーのGoogle Appにはリーダーがあったけれど、ウィンドウズモバイルのはネットで見てもまだのようだったので、ここでウィンドウズモバイルは消えました。

2つ目は、skypeが使えるかどうか。とりあえず真新しさでだいぶ前にskypeのIDを取得していたのですが、特に使い道もなく放置していました。しかし、完全旅行対応用のネットブックも買った影響で、これからはもっと海外旅行で活用しようと思っていました。そんなこともあって、skypeが使えるのは結構大事。ブラックベリーはここがNGで、よってこの理由がもっとも決定的要因となりました

3つ目は、使い勝手とディスプレイの見易さ。これはやはりiPhoneのほうが圧倒的にいいですからね。

4つ目は、どちらにせよ携帯のメアドが変わるし、新規でも機種変更でもお金がかかる、ということです。

(※ 3年前の日記より:http://www.yuu-koma.jp/?p=848

今思うと、「Skypeが使えないなんて論外」なんて、いかにも僕らしい理由ですよね(笑)

当時でもSkypeは普通にスマホで使えたんです。少なくともBlackBerryにはSkypeのアプリがありました。しかし、それをDocomoはわざわざ使えなくしていた。

ちょっと前までは「Skype=禁断のアプリ」なんてキャッチフレーズを使っていた通信社があったくらいですから、当時のDocomoが同様の考えを持っていたことは容易に想像することができます。

実際このことは購入前に確認する注意事項にも書いてありました。「一部使えないアプリもある」と。

先に紹介した日記の抜粋にも書いてあるとおり、僕にとってSkypeは非常に大事だったので、わざわざ店員さんに確認をしたことを今でもよく覚えています。

もうあれから3年、携帯環境も大きく様変わり。時代も大きく変わりました。Docomoの苦戦、そしてAppleの好調さは説明するまでもないでしょう。

そんななか本日はてブなどで話題になっていた「 高くついた反アップル戦略NTTドコモで通信障害続出の真相」という記事がとっても気になりました。

一部内容を抜粋させて頂きます。

関係者の一人は、「それまでドコモにとって、アップルはそれほど意識するような会社ではなかった」と当時を振り返る。

というのは、携帯音楽端末のiPodで成功を収めていたものの、2008年投入のiPhone 3Gは前評判ほど売れ行きが伸びず、ドコモの関心の外にあったからだ。むしろ、ドコモにとっては、ドコモ版のブラックベリーの早期投入の方が重要なスマートフォン戦略となっていた。

しかし、その後は、バージョンアップのたびに存在感を増すiPhone の取り扱いをアップルに打診して、その度に袖にされたうえ、iPadでは赤っ恥をかかされる結果になった。ここに至って、ドコモは、国内最強の携帯電話会社のプライドを大きく傷つけられた。もちろん、電電公社の無線部門として、世界の通信技術開発をリードしてきたことへの自負もあっただろう。そして、徹底的にアップルと対抗していく方向に、ドコモは舵を切ったのだった。

(※ 高くついた反アップル戦略NTTドコモで通信障害続出の真相より)

なんだかこちらの記事を読んで、当時のことをいろいろと思い出しました。今日こんな話題を書いているのは、この記事がきっかけというわけです。

少し上の自分の日記でも触れているのですが、3年前というのは、「脱新聞、脱テレビ生活」を始めていた頃で、さらにこちらの本を読み「クラウド・コンピューティング」という考え方を知ったころでもありました。

クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの (朝日新書)

西田 宗千佳

4022732547

朝日新聞出版 2009-01-13

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「クラウド・コンピューティング」という言葉自体は、その前年くらいからよく耳にするようになったと思います。

こちらの本は僕がiPhoneを購入する直前の2009年の年初1月に発売されたもの。僕はいまでも「クラウド・コンピューティング」について非常に的確に書かれてい名著だと思っています。

3年前に発売されたとはいえ未だに色あせることなく、今でも十分にこれからの時代を知る上で勉強になる内容が充実しているのではないでしょうか。

こちらの本において、「iPhoneの魅力はタッチパネルでなく”な同期”であるということ」をいち早く主張していたことも大変評価できますが、それよりも素晴らしいのは、まだ当時は登場していなかったAndroidに関して、

なぜGoogleがモバイル端末用のOSを無償で提供するのか

ということを正しく解説していたことだと思っています。この詳細な答えは、以下度々触れるとは思いますが、ぜひ本書を読んで確認してみていただけるとよろしいかと思います。

いずれにしても、本書は来るべきクラウドの時代、その鍵を握るのは携帯端末だと。そして、「その携帯端末の鍵を握るのが”モバイル用OS”である」と3年前に主張しているのです。

さて、iPhone、iOSといいましょうか、間違いなくこの強みとなっているのが、アプリの更新頻度の高さだと思うんです。

例えばGoodReader。間違いなくiOSアプリでもトップクラスの質を誇るアプリですよね。こちらの素晴らしさはもちろんアプリ自体の質や使いやすさもそうですが、やはりこまめなそして迅速なアップデート対応がさらに魅力を高めていると思うんです。

※goodiware.com :: products :: GoodReader http://www.goodiware.com/goodreader.htmlより

しかもまさにiOSアプリはグローバル競争のまっただ中に晒されているわけです。そんななか生き残ってきているわけですから、質も高くなるはずです。

これもiPhoneの素晴らしさのひとつだと思います。

そこで、もう一度、先程ご紹介した「現代ビジネス」の記事をもう一度思い出してみます。再び、一部記事を抜粋させて頂きます。

スマートフォン向けの携帯OSに関して、アップルのiOSに対抗できるものが、グーグルのアンドロイドぐらいしかなく、これがドコモにとって予想外の大きな負担になったのだ。

というのは、グーグルは携帯電話メーカーや携帯電話会社がアンドロイドをある程度カスタマイズすることは認めているものの、グーグル自身がカスタマイズに協力することはまずないからだ。

しかも、ドコモが日本最強と言っても、中国やインドといった巨大な新興国市場の携帯電話会社と異なり、ガラパゴスと揶揄される小規模市場しか持たないドコモ向けのカスタマイズなど、グーグルにとって採算に乗らないことであり、無駄な手間にしか映らないという。

(※ 高くついた反アップル戦略NTTドコモで通信障害続出の真相より)

こんなことは、先程紹介した「なぜGoogleがモバイル端末用のOSを無償で提供するのか」ということを理解すれば直ちにわかることなわけです。同じく同書にも書かれていますが、「どうしてGoogleはクラウドに力を入れているのか」ということを理解すればすぐわかることなわけです。

さらに、記事を抜粋させて頂きます。

加えて、ドコモは、音声携帯電話時代に大成功を収めたビジネスモデルと決別する覚悟が十分ではなかった。アンドロイドとは互換性のないSPメール(スマホ版のiモード)、ワンセグテレビの視聴機能、おサイフケータイ機能などをスマホに移植することに固執してしまったのである。

同グループは、それらの移植に拘った理由を「以前から使っていた機能がなくなったと利用者に不満を持たれることは、絶対に避けたかった」と説明している。

(※ 高くついた反アップル戦略NTTドコモで通信障害続出の真相より)

更に抜粋ですが、

ドコモ・ファミリーの各社からは、「採算が合わず世界市場に投入できないカスタマイズに追われた」との悲鳴も聞こえてくる。ドコモも、ドコモ・ファミリーも、乏しい技術者を、益の少ないカスタマイズに割かされた感は否めない。公にはしたがらないが、メーカー各社は、経営の弱体化に拍車がかかる問題に直面していたのだ。

結果として、ドコモのスマホは、ファミリー企業のものではなく、カスタマイズに熱心でない韓国のサムソン製や、欧州メーカーとソニーの合弁だったソニーエリクソン製が主力商品になるという皮肉な現象も生じた。

(中略)

これでは、アップルやグーグルといった米国企業が携帯OSのバージョンを変えるたびに、日本の携帯電話会社、メーカー、そしてユーザーが米国企業のリスクを転嫁され、検証させられる宿命を背負い込むことになる。

(※ 高くついた反アップル戦略NTTドコモで通信障害続出の真相 http://bit.ly/yqK8dLより)

まさに3年前に発売された新書に書かれていた「モバイルOSの重要性」の話なのだと思います。

こうした記事、そしてこの3年間の流れを顧みると、本当にあらためて「クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの」の本って素晴らしかったなって思います。

その後知らない間にその本質的な意味がわからないまま新聞等で無造作に使われ始めた「クラウド」や「スマートフォン」という言葉に踊らされずに、3年前の時点で、実際にスマートフォンを手に取る前の時点で、このような考え方を知ったことは自分にとって非常に幸運でした。

そして、このような誤った戦略を見抜くきっかけとなったのは、あの「Skype」だったわけです。

あの当時、もし彼らがこうした将来性に気がついてBlackBerryでSkypeが使えるようにしていたら、携帯メーカーの現在、そして僕自身の現在のライフスタイルはどう変わっていたのでしょうか。

興味深いところです。

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