訪問日時:2016年4月24日(1泊)
ちょっと不便だけど素敵なテルエル
世界遺産巡りシリーズに一旦戻ります。スペイン2日目の夜はアラゴン州にある「テルエル」という街に泊まることにしました。
テルエルという街の場所はこちら。
この街はちょっと不便なところにあります。一応サラゴサとバレンシアを結ぶ高速道路上にありますが、ご覧のとおりマドリードからだと大きく迂回していかなければ辿りつけません。直通の電車も走っていないそうです。しかも山岳地帯の中、標高は900mを超えるので、スペインといえども気温は低め、冬は雪も降るようです。
路地裏のアパルトマン、暗いけど安くて快適
さて、テルエルに来る直前にいたスペインの最も美しい村「ルビエロス・デ・モラ」を出発したのは午後5時過ぎ、テルエルには午後6時前に到着。ちょうど宿泊地入りにはよい時間帯。いつものように宿泊場所は旧市街の中に取りました。ホテルは前日泊まっていたクエンカで予約済み。少々クエンカのホテルが高かったので安いところを選びました。幸い、テルエルはマイナーな観光地なのでホテルがそこそこあっても比較的安い!
宿泊したアパルトマン:フォンダ デル トサル
旧市街内部は車は入れませんので、外側に止める必要がありますが、駐車場所はすでにGoogleマップの衛星写真、ストリートビューで確認済み。想定通りの場所に駐車をすることができました。
写真は撮っていませんが、管理人さんも人柄がよく言葉があまり通じなくてもすごく親切に接してくれました。
アラゴンのムデハル様式の建築物で有名なテルエル
ということで、いまいち人気の欠けるテルエル、ちょっと活気もイマイチなところもありますが、街自体はとても素敵です。なんと「アラゴンのムデハル様式の建築物」という名前で、街の一部の建物が世界遺産にも選ばれているのです。
ムデハル様式 (estilo mudéjar) はアラビア語で残留者を意味する「ムダッジャン」に由来する。スペインの建築様式で、レコンキスタの後、残留イスラム教徒(スペイン語:mudéjar、mudajjan)の建築様式とキリスト教建築様式が融合したスタイル。特徴は建物の壁面に幾何学文様の装飾を施している。(wikipediaより)
以上からもわかるようにここも12世紀ころまではイスラム教徒の支配下にあったわけです。しかし、アラゴンでは、レコンキスタ後のイスラム教徒たちが残っていくつもの美しい建築がなされたというところが他のスペインとは違った特徴で大変おもしろいですね。
ということで、街のいたるところでこの「ムデハル様式」の建築物を見ることができます。
とはいえ、街中がムデハル様式というわけではありません。例えば、中央の広場などは、よくありがちなスペイン的の街並みを見かけます。
しかし、街のあちこちに時折、例えばこういったデザインの塔を見ることができます。こういうデザイナをムデハル様式と呼ぶのだそうです。
一部工事している箇所もありますが、このあたりからの景色は、スペイン的な建物とムデハル様式の建物がほどよく融け合っていて、非常に美しいと思いました。
そして、古い建築物ではないのですが、典型的なムデハル様式でとても印象的なのが、この駅前から旧市街側に移動する際に通過するこちらの階段。見事です!
サン・ペドロ教会がこの街の一番の見どころ
この駅前階段も見事ですが、中央広場から少し路地に入ってすぐのところにある「サン・ペドロ教会」こそ、テルエルにいくつかあるムデハル様式建築のなかで最も美しい必見スポットであることに間違いないでしょう。
聖堂はガイドにしたがって入場する仕組みです。入口はご覧のようにモダンな建物。内部は有料でオーディオガイドがついてきます。
しかしよく入口を見てみると「MAUSOLEO DE SOL AMANTES(恋人たちの霊廟)」となっています。実はここはこの恋人たちの霊廟とサン・ペドロ教会が同施設内に隣接しています。まず初めはこの霊廟をみることになります。
このように恋人同士が横になっている像が並んでいるわけですが、
よく見ると手をつないでいるようで手同士がくっついていません。ちょっと写真ではわかりづらいでしょうか。
同じ部屋にはこちらの恋人たちの霊廟をモチーフにしたとされる現代画がありました。いかにもスペインらしくてとても気に入りました。
続いて、サン・ペドロ教会の聖堂内部へと入ります。ここからはガイドに案内されての鑑賞となります。聖堂内もムデハル様式、数多くの聖堂を見てきていますが、確かにいままで体験したことのない独特の雰囲気。感動的な美しでした。
そのガイドに案内されて、同施設内の塔に登りました。塔そのものは大したところではありませんでしたが、テルエルの街を上方から眺めることができる数少ないスポットのひとつともいえます。街全体を眺めることはできませんが。
最後に塔を降りる途中の2回の奥側の場所から聖堂全体を撮影。これで鑑賞は終わり。
ムデハル様式の美しさを十分に体験できたと思います。
夕食はアパルトマン近くのバルで
このエリアでは「ハモン・セラーノ」が有名、ということで、その生ハムがふんだんに盛られているサラダを頼んでみたのですが、特段びっくるするような味わいではありませんでした。特にお腹も空いていなかったし、これといった食事がなかったので、夕食はこれだけ。しかし、ワインはとても美味しかったので、3杯くらい飲んでしまいました。
もうちょっと生ハムは満喫してもよかったかな…。
翌朝、気温は氷点下!
さて翌日、アパルトマンをチェックアウト、といっても前日に料金を支払っているので、鍵を管理人室の扉にぶら下げておき、アパルトマンを出発、歩いて1分ほどの駐車場へと向かいました。標高が1,000m近くのテルエル、まだこの時期でも夜中の気温は氷点下を下回っていたようです。その証拠にクルマのフロントガラスが凍っていました。
朝8時過ぎでもまだ3度、いやそれ以下だったかもしれません。とりあえずお水をかけて窓ガラスの氷をとかそうとしたのですが、すぐに凍ってしまいました。びっくり。スペインというとどうしても温かい、暑いという印象が強いですからね。
エンジンを掛け十分にフロントガラスの氷が解けてから出発。3日目となる4月26日は終日美しい村巡りとなりました。(続く)