世界遺産:ラ・ショー=ド=フォンの街並み、2017年9月スイス・フランス旅行記 No.7

2017年9月スイス・フランス
2017年9月スイス・フランス

訪問日時:2017年9月17日、午後1時頃

なかなか年の瀬で更新時間が取れなかったのですが、ようやく年末年始の休暇に入りましたので、頑張って昨年(2019年になっていましたのでおととし)の旅行記を更新していきたいと思います。

スイスの歴史ある時計工業の中心地へ

今回ご紹介する世界遺産は、スイスの北部のジュラ地方にある「ラ・ショー=ド=フォン」という街です。ラ・ショー=ド=フォンは、スイスのフランス語圏で3番目に大きい街、スイスの代名詞でもある時計工業の中心地であり、建築家のル・コルビュジエが生まれた街でもあります。2009年に隣町のル・ロックルとともに、「ラ・ショー=ド=フォンとル・ロックル、時計製造業の都市計画」という名称でユネスコ世界遺産に選ばれました。

この日の前の日はミュールーズというフランスの街で、SNSで知り合ったフランス人と食事をしていました。翌日、再びフランス側からスイスへと戻り、ジュラ地方の山間をドライブしながら美しい村のひとつ「サン・ウルサンヌ」を回って、その次にこのラ・ショー=ド=フォンの街へとやってきました。天候は曇りがち、どうにかキープしてもらいたかったのですが、残念ながらラ・ショー=ド=フォンに到着したときには雨が降ってきました。街の写真がまったくないのはそのためです。

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ちょうど到着がお昼直前、とにかく情報が少ないのでまず急いで観光案内所に向かいました。といってもパンフレットと街の地図を手に入れただけ。しかし、この街の案内所で入手できるパンフレットの種類が多いこと!

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さて観光案内所、予想通り12時になるとお昼休みに入ってしまうことで14時までしまってしまうということでした。ヨーロッパの地方都市はおおよそこのようにお昼休みの2時間位は案内所が閉まってしまいます。ゆっくりと食事でもしとけ、ってことなわけです。ということで、雨で寒かったこともあるので、段を取るべく近くのお店で簡単なランチ、とってもコルドン・ブルーを。ある意味スイスっぽいのかな。

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正直大したお店ではなかったのですが、あたりに空いているお店があまりなかったせいなのか、大混雑していました。

さて食事を取りつつ、先程頂いたパンフレットに目を通します。スイスなので3カ国語に対応(ドイツ語、フランス語、英語)、一応フランス語も多少は分かりますがやはり英語は安心。それほど大きな街ではないので、主な観光方法は街を歩いて散策する、この街にあるアールヌーボー調の建築物(市庁舎など)を回りながら散策するのがおすすめだと書いてありました。なお、パンフレットについては近隣地区(主にヌーシャテル湖付近)のガイドも豊富でした。

ただ残念ながら雨がそこそこ強く降っておりさらに寒かったので、結局訪れたのは、街の中心にある市立美術館(Musée des beaux arts)と世界時計博物館(Musée international d’horlogerie)の2箇所、そして街の北側郊外にあるル・コルビュジエ設計の別荘「メゾンブランシュ(Maison Blanche)」。これらがこの街の3大見どころには間違いないです。なお、今回の旅行ではスイスとフランスにあるル・コルビュジエ設計の建築物を何箇所か訪問してきましたが、それについては別途記事を書く予定です。

市立美術館(Musée des beaux arts)

はじめに訪れたのは市立美術館です。そこそこの規模だとガイドブックに書いてありました。訪問時はお昼すぎ、平日だったので、観光客はほとんどいなかったと記憶しています。作品はブラック等比較的近代のものが多かったと思います。

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印象的だったのは、先程すこし触れましたル・コルビュジエの作品があったこと。彼は建築家として非常に有名ですが画家でもあったそうです。彼の作品がこの街の美術館にありました。

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世界時計博物館(Musée international d’horlogerie)

ラ・ショー=ド=フォンの最大の見所だといえるでしょう。市立美術館のほぼ隣に位置しています。この時計博物館が造られたのは1902年、1974年に現在の大きな建物に移管されたそうです。

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基本的にはそれぞれの時代、特に17世紀ころから20世紀に至るまでの時計を紹介する展示が中心です。これが子供から大人まで十分に楽しめる内容。そして展示されている時計の数もかなり多く、じっくり見始めると2時間、いやもっとかかる気がします。想像以上に巨大な博物館です。

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いまでこそ時間を知ることは簡単にはなりましたが、昔は非常に難しく、時間を知ることは権力者にとっては最重要事項だったことが伺えます。教会の時計にはじまり、懐中時計、そして腕時計に至るまで、その文明の進化を一通り学ぶことが可能な、非常に面白い独特な博物館だと思います。

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解説、パンフレットも充実しています。もちろん英語、フランス語、ドイツ語のみ。もしかしたら館内地図等は日本語があったかもしれません。

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もともとヨーロッパにおける時計は修道院や教会などで日々の生活を管理するために13世紀ころから造られたものだそうです。初期の時計は主に教会の塔の中に設置されたということです。次第に技術革新が進みその形状は小型化され、さらに正確性も高まったとのこと。教会のインテリアや教会で地位の高い人向けのものが造られるようになりました。

15世紀になると、その動力源は、おもりからぜんまいに。時計の動力源が振り子からの開放はさらなる時計の小型化を促進、懐中時計のような持ち歩ける時計が登場したり、18世紀の絶対王政時代にはべっこう、貴金属に彩られた装飾品としての時計が王族などに向けて造られるようになりました。典型は懐中時計。その形から「たまねぎ」と呼ばれていたそうです。博物館には非常に多くの懐中時計が展示されていました。

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18世紀19世紀は、時計の正確性が追求された時代、現代でも続くLe RoyやBerthoud(いずれも人の名前、フランス人)といったブランドはこの時代に誕生したものです。

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時代は更に進み20世紀初頭。このころはアールデコ等の影響からデザイン面での躍進が見られました。

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20世紀の後半はクォーツの誕生、高度で耐えられる強い時計などが発明されました。

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時計の仕組みから歴史まで、時計に関するあらゆることを勉強することができる国際時計博物館、ラ・ショー=ド=フォン訪問には一番最初に訪れるべき必見ポイントに間違いないでしょう。

やはりゆっくりと散策したかった

しかしあらためてパンフレットを見てみると、工業としながらも街のあちこちにアールヌーボー調の建築があって非常にアートな雰囲気を感じさせる町並みです。天候のせいで残念な思いをしましたが、やはりゆっくりと散策してみたかったです。いつものことですが、このあたりは食事もよし文化もよし観光もよしなので、再訪は必須です。またいつの日か。

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