Airbnbそれともbooking.com?旅行サイト業界の最近について

10.趣味全般
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数日前にこのような記事が出ていました。

エクスペディア、今度はオービッツを買収 – WSJ http://jp.wsj.com/articles/SB12091905799479333513004580457723512644954

旅行サイト大手エクスペディアによるオービッツの買収です。最近旅行サイト関連の再編ニュースが多い気がします。再編が加速されてきているのでしょうか。僕もよく旅行をしますが、オービッツ知りませんでした。そしてそもそもエクスペディアって全く使ったことがないんですよね。

いい機会なのであらためて旅行サイトについて考えてみました。

世界の主要な旅行サイト

まずは世界の旅行サイトについて代表的な3社について簡単におさらい。

最初に紹介するのは、旅行ポータルサイト世界最大手、アメリカのプライスライン社。

時価総額577億ドル、売上高84億ドル(2015年2月時点、Yahoo Financeより)。売上高もナンバーワン、そして時価総額でみると2位以下をダントツで突き放しています。

主力サイトは世界最大の宿泊予約サイトbooking.com、個人旅行者にはもうすっかりお馴染みのサイトだと思います。プライスラインよりもこちらでご存じの方も多いかもしれません。もちろん僕も愛用しており、これまで何度もお世話になりました。

最近利用するようになったrentarcars.comもこちらのpricelineグループになります。

そして、業界第二位は、トリップアドバイザー

時価総額121億ドル、売上高16億ドルと(2015年2月時点、Yahoo Financeより)。世界最大の口コミ旅行サイトとしてこれまた非常に有名。そして普段の旅行では欠かせない存在になっております。ちなみにトリップアドバイザーってもともとエクスペディアの一部門だったのですが、2011年12月にエクスペディアから分離独立したとのことです。いまやもともとの親であるエクスペディアと時価総額的に同規模とはすごい成長です。

僕のケースでは、トリップアドバイザーは、よく旅先でよさげなレストランを探すときに利用します。

ちなみにフランス国内のレストラン予約に関しては、la fourchetというサイトと連携されているので、このサイトからフランスでのレストランを事前に予約したことがありましたが、基本的には現地での利用が多いです。

最後、業界第三位は、エクスペディアとなります。

時価総額113億ドル、売上高65億ドルと(2015年2月時点、Yahoo Financeより)。トリップアドバイザーと比較すると、その売上高こそ大きく上回っているものの、時価総額で見るとわずかとはいえ小さいというのは意外でした。実は僕はあまりこのエクスペディアを利用したことがありません。それはなぜか?次に説明するビジネスモデルの違いで納得です。

でももしかしたら、僕にとってもっと使う価値があるのかもしれませんので、あらためて調べてみようと思います。

エージェンシー型とマーチャント型

旅行サイトの主なビジネス形態はこの2つ。前者のエージェンシー型は、ホテル側が旅行サイト側にフィーを払うビジネスモデル。ユーザー側が旅行サイトにフィーは支払いません。原則、直接現地での支払いとなります。プライスラインの主要サービス、booking.comなどはまさにこのタイプ。

もう一方のマーチャント型では、ユーザーのすべての決済は旅行サイトにて行われる。この型のメインプレーヤーがエクスペディア。これはどちらかというと従来的なビジネスモデルと言えますね。実店舗をもつ旅行会社はこちらのタイプが基本。なるほど、だから僕はあまり使っていないわけですね。

もちろん完全に2つのタイプに別れるのではなく、例えばプライスラインがマーチャント型のサービスを行ったり、逆にエクスペディアがエージェンシー型の再−ビスを行ったりもしています。あくまでもどちらが主体なのかの差です。

ちなみに、情報提供によるビジネスモデルありまして、この代表例がトリップアドバイザーです。クリック課金、広告収入、アフィリエイトなどが主な収益源となります。

エージェンシー型とマーチャント型どっちがいい?

マーチャント型のサイトのよいところは、企業側にとっては、決済機能を持つこともあり、高いコミッション=手数料得られるということ。しかし、より自由で柔軟な旅行者にとっては、あまり魅力的なサービスではない気がします。

やはり現地で柔軟にプランを変更しながら旅をしたい人にとっては、圧倒的にエージェンシー型のサイトのほうが使いやすいと思います。特に当日の宿泊場所を探す場合には、確実にエージェンシー型のほうが便利です。だから、僕もプライスラインのサービス、booking.comを愛用しているのだと思います。

エクスペディアの今回のオービッツ買収にはそんな背景があるのかなあと思えてきます。

当初は業界の先駆け的存在であったエクスペディアが業界最大手でしたが、2000年代になってプライスラインが急成長し、その順位は大きく逆転してしまったのは、従来型のマーチャント型よりもエージェンシー型の方が個人旅行ユーザーにとっては、使いやすかったということでしょう。

従って、成長著しいエージェンシー型のサイトを充実させる必然性を感じていたはずです。

Aibnb勢いが止まらない?

グローバルに展開している旅行サイトは以上の3つが主要で規模も他の旅行サイトと比較して群を抜いています。それ以外には、中国などで展開するCtrip.comなどの台頭があるものの、基本的には、ローカルな旅行を対象とした小規模なものが多いようです。

しかし、そんななか密かに爆発的に成長しているサイトが。そう、Airbnbです。

2014年もAirbnbの勢いは止まらないようです。

参考記事

Airbnb guests triple, hurting Priceline, HomeAway http://www.cnbc.com/id/102389442

Cowen and Co.という調査会社の調べによると、2014年1年間のAirbnbの予約売上高(旅行サイトの売上ではなく予約したホテルの宿泊費合計だと思われます。)は55億ドル、プライスラインの460億ドル、エクスペディアの200億ドルにはまだまだ匹敵しないとはいえ、そこそこのシェアを占めているといえるでしょう。

僕も以前ブログでも書きましたが、この4月末に行く予定のモロッコでは、Airbnbを初めて利用、早速3つの予約をしています。これからはAirbnbを最優先にして宿泊先を探していこうと思っているくらいです。

Airbnb、特に都市部だと圧倒的に安い!そしてなによりも楽しいんですよね。

Airbnbはエージェンシー型とマーチャント型の良いとこ取り?

Airbnbは、最近の勢い、動向からするとエージェンシー型なのかと予想できそうですが、実はそうではありません。予約確定と同時にクレジットカードの決済が発生しますので、マーチャント型であると言えそうです。

しかし、Airbnbはホスト側からのリプライの早さを重視しているといえます。実際、物件を紹介するページには必ずホストの「返答率と返答時間」が記載されています。

Airbnbは、ビジネスモデル的にはマーチャント型といえますが、実はこの返答に関するファクターを重要視することで、エージェンシー型の性質も兼ね備えているといえます。エージェンシー型のほうが、前述のとおり、自由なスタイルを臨む個人旅行者には好まれます。

Airbnbの強みは、比較的安いということだけでなく、マーチャント型ですがエージェンシー型の柔軟さも併せ持つビジネスモデルに起因しているのではと思います。

Airbnbの市場価値はどのくらい?

現時点ではAirbnbはIPOの予定はないようですが、既にいろいろな推測が飛んでおります。前述したCNBSの記事にも言及がありまして、それによると130億ドルの市場価値があるとのことです。つまり、現時点でのエクスペディアやトリップアドバイザーにも匹敵、むしろそれ以上の価値があるということになります。

(出所:Yahoo Financeよりyuu-koma.jpが加工)

これからはAirbnbそれともbooking.com?

旅行サイト業界も下克上が激しい業界と言えるでしょう。まだインターネット黎明期だったとはいえ、かつてのプライスラインが2000年に入ってから一気にエクスペディアを抜いて、今や4倍以上の規模になったように。プライスラインもうかうかはしていられないでしょう。

僕も今年のGWの旅行は、今までずっと愛用していたbooking.comによる予約よりも、Airbnb中心の予約に変更しました。新しいから面白い、ということもありますが、結構旅慣れた人、語学的な障壁がない人にとっては、このAirbnbの方法のほうが、ずっと楽しくて便利のように思えます。

ただし、もっともまだまだAirbnbだけでは不十分。特に地方ではまだまだ普及していません。その点booking.comはその歴史も長いせいか、田舎でも断然の強さ、情報量を誇っていると思います。僕も今年のGWでは、地方都市ではbooking.comによる予約もしています。

もちろん宿泊先の数だけでなく、値段も大事ですから、ただ面白い、楽しいからといってAirbnbが中心になるということはないと思います。実際、Airbnbが必ずしも安いとは限りません。

いずれにしても、旅行業界の進化をフォローしながら、良い情報を積極的に活用し、より便利で快適な旅行をしていきたいですね。

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