結構慣れが必要、そしてアタマを使うかもしれない。
2回目の試乗は自動運転が目的
電気自動車として、そしてカリスマ的な経営者「イーロン・マスク」も注目を集めているテスラ社ですが、昨年の4月以来、2回目の試乗をさせてもらえることになりました。
今回は[highlight]「自動運転機能」[/highlight]を試させてもらえるとのことです。
今回の試乗、実は2月に開催されたもの。開始の1週間ほど前に気がつき慌てて申し込みするも、やはり手遅れで一旦お断りされたのですが、先方曰く、希望者が多かったため(ホントか)、3月に追加で実施することになったとのことです。
テスラの自動運転機能とは
今年の1月に更新された「バージョン7.0」により、次の3つの自動運転機能が使用可能になりました。
「オートパイロット」
- 運転席から見えるメーターパネルには車線が表示されます。車線または前方の車両、またはその両方を認識すると、レバーを2回を押すことで、自動運転モードに変わります。車間距離や速度を指定すると、それに合わせて自動運転を行ないます。
- 自動運転中もハンドルには手を置くことが前提ですが、ステアリングマークが表示されるとステアリングから手を離しても走行します。
- ブレーキを踏んだり、ステアリングを少し左右のどちらかに切ったりすると、オートパイロット機能が解除されます。
「オートレーンチェンジ」
- オートパイロットの実行時に、ウインカーを出すと、自動車の周囲360°の状況をセンサーで確認。自動的に車線を変更する。
- オートレーンチェンジは、米国ではステアリングにまったく振れずに車線を変更できるが、日本を含むその他の国では、各国の規制に合わせてハンドルを握っている必要がある。
- 隣の車線が混雑している場合など、自動でレーンチェンジができなかった際には、ウインカーを戻せば、オートレーンチェンジ機能が解除される。隣の車線への移動する機能で、高速道路のパーキングエリアや出口などで斜めに進む移動には使えない。
「オートパーク」
- 停止している自動車と自動車の間に、駐車可能なスペースを見つけ、可能だと判断すると、メーターパネルに「P」と表示されます。その後、ディスプレイ上に表示される開始ボタンをタップすると、自動的に駐車を開始。
報道資料:テスラモーターズ 自動運転機能を日本国内で実用化。モデルS に、自動運転機能を含むソフトウエアの配信を開始。 | テスラモーターズジャパンより
https://www.teslamotors.com/jp/blog/jp_autopilot0115
いずれも日本で初めて国土交通省の承認を受けて、公道での利用が可能となっています。
これらの自動運転機能は、前後に6つずつ、合計12個の超音波センサー、前方に車間距離などを計測するレーダー、フロントガラス上部に配置されたカメラ、合計3つで実現しているとのことです。昨年試乗した時にすでにハードウェア上では自動運転機能を行う上での準備はできているというのは、このことを指していたのでしょう。
3月追加開催の枠に参加させてもらえることに
試乗場所は夢の島マリーナにて。まずここからスタート。東京ゲートブリッジを渡り、また戻ってくるという行程です。そういえば東京ゲートブリッジを渡ったことがないのでこれもまた楽しみです。
ということで、やって来ました夢の島マリーナ。
近くの首都高湾岸線を走り抜けたことは数知れずですが、このあたりに来た、ここでクルマを降りるのは初めて。それにしてもマリーナなのでヨットに乗る目的がなければなにもすることがない感じです。少しはやく着いたので、マリーナにあるカフェレストランでコーヒーを飲みながら予約時間の16時まで待機。
久しぶりのテスラ、1年でかなりアップデートされたとのこと
そして予約時間の16時に。係の人がカフェまで迎えに来てくれて、車のあるところまで一緒に移動。さあ試乗の始まりです。1年ぶりの再会です。内装は特に変わっていません。
まず最初はテスラの担当者が運転し、テスラの基本的な仕組みや今回新しくバージョンアップされた自動運転に関する説明をしてくれました。僕は一度テスラを試乗したことがあるので、基本的なことは前回教えていただいておりましたが、その時よりもかなりソフトウェア(ファームウェア)がアップデートされたので、[highlight]どこから説明して良いのかと逆に悩んでいました[/highlight]。(テスラは「ガジェット」と考えましょう。)
とりあえず現時点(2016年3月下旬)での、日本におけるモデルSのソフトウェアはバージョン6.2。主に更新は、「自動緊急ブレーキ」、「死角警報」、「バレーモード」(セキュリティーを完全に停止させる機能のことだそうです。点検時等に使うもの)が追加されたことだそうです。
ご参考: https://www.teslamotors.com/jp/support/software-updates
見かけの上では、運転席のディスプレイと運転席横、前方車体中央のディスプレイが大きく変わったことに気が付きました。車自体の機能改善よりもこちらの方が気がつきやすいです。
カーナビ(というかGoogleマップ)やオーディオ機器などをコントロールする車体前方中央のディスプレイも随分とすっきりした最近風のデザイに担ったような気がします。(以前は正直ダサかったかも笑)。
「オートパイロット」:概ねスムーズ、交差点通過にやや難ありか
ここからは主な3機能の簡単な解説と体験した感想を書いていきます。
基本はまずこの「オートパイロット」でしょう。これは道路に書かれている車線(白い線)を認識することで機能します。車線を認識すると、ハンドル正面ダッシュボード上のディスプレイにおける車線のライン(通常は白色)が青い色で表示されます。そして、その上段両脇に下の写真のように、メーターの上部にあるハンドルとクルマのアイコンがグレーから青くマークされるようになります。
また、前のクルマを認識して自動的に追随する機能もあります。これにより車間距離を一定に保ち、前の車との速度に合わせて走行することができます。
実際乗ってみた間隔では、ラインに沿った走行は快適で安心できそうです。
ただ、あくまでも車線のライン(両脇)があるのが前提なので、交差点にはいるとこのラインがなくなりなんだか不安になります。テスラの担当者曰く、交差点を抜ければまた車線のラインが復活するので大丈夫とのこと。とはいえ、2車線3車線といった大きな交差点の場合には、交差点を抜けるまで時間がかかります。今回試乗したルートでも、基本的に2車線、右折レーンを含めると3車線になる交差点がいくつかありましたが、ここを抜ける時はなかなか通常車線に戻るまで時間がかかるため、かなり不安になりました。
さらに不安要素になっているのが[highlight]「赤信号には対応していないこと」[/highlight]。前に車がありそれを追随している状態であれば、(前の車が信号無視をしないかぎり)自動ブレーキがかかり問題ありませんが、自分の車が先頭の場合は手動に切り替えて、自らの意思で停まるしかありません。これは今後どのように改善されていくのか気になるところです。
「オートレーンチェンジ」:とてもスムーズ、快適
ウィンカーを操作すると自動的に車線まで変更してしまうという機能です。慣れると結構面白い機能の一つかもしれないです。
アメリカではウインカーを操作するだけで、ステアリングに手を触れていなくてもよいのですが、日本(アメリカ以外の国は基本すべてのようです)ではハンドルに手を添えている必要があります。ハンドルに手を添えているのでハンドルが自動的に動いていくのを感じることができます。
なお、試乗の時は道が空いていたので比較的スムーズに車線変更できましたが、ある程度混雑している場合はどのようになるのか興味深いです。
「オートパーク」:すごいけど、どこまで狭いところまで対応できるか不明
最後はオートパーキング機能の解説。これは僕ではなく担当者が操作してそれを体験するという形で行われました。
なんとボタン一つで動作開始。すごい!動画をとっている間に一瞬で終わってしまいました(笑)。しかし、どこまで狭いところまで対応できるか不明。ちなみに十分なスペースがないと判断した場合はこのモードは作動しないようです。
ただし、縦列駐車よりも普通の車庫入れ、駐車場入れモードのほうが、日本で乗る場合においては魅力的でしょう。
おまけ「自動ブレーキ」:どこからかかるのかを理解するのが難しかった
この自動ブレーキは今回新しく加わったものではなく以前から合ったもののようです。しかし、残念だったのは自動ブレーキングを自分で体験できなかったことです。なれないと難しく、わずかな試乗時間だけではコツをつかめなかったからです。
この自動ブレーキは、前の車に追随している場合にかかるようですが、ブレーキがかかり始めるタイミングがまだわからない、またテスラのブレーキングの具合というかクセがどの程度なのかまだ把握していない、といった理由から、どうしても早めにブレーキをかけてしまう。すると自動運転機能が解除されるのです。
そうなるとあとは当然のように手動ですからしっかりとブレーキをかけないといけなくなる。ということでとても慣れとコツをつかむことが求められるのではないかと思いました。
試乗し終えた感想など
ということでわずか30分ほどの試乗時間でしたが、わずかながらも自動運転がどのようなものかを理解し体験することができました。とてもよい機会をいただいてあらためてテスラ社の関係者に感謝いたします。
全体的な感想としては、非常に楽しみな技術ではありますが、まだまだ課題も多く、完全に自動運転に任せるという判断は難しいと感じました。使う側としても自動運転でどこまでできるのか、どこまでさせるのかをしっかりと考えておく必要があるでしょう。技術面よりも使う側の理解の方が大事だと思いました。
しかし、今後の進展には大いに期待できること間違いなし。この分野に関しては各メーカー力を入れてくるはずです。別の機会があれば他のメーカーの自動運転も体験してみたいです。
最後に:汎用モデル「Model 3」が今月末お披露目!
ところで…、
Tune in for the 3/31 unveiling on https://t.co/7Ol1Bw0ZaG #Model3 pic.twitter.com/P1PY0U8H4T
— Tesla (@Tesla) March 15, 2016
ということだそうです。セダンタイプのModel S、SUVタイプのModel Xはとにかく高い!しかし、Model 3はテスラの汎用モデル、決して安くはありませんが、前者2つと比べればまだまだ手の届く範囲の値段(それでも350ドル前後との噂)だと思われます。
でも今の車を買い換えるインセンティブもお金もありませんけどね…。発表を見守りたいと思います。