現地時間:2014年5月9日
最終日は晴れ、今日はこの旅最後にして始めてのショートドライブ。
すでに美しい村巡りは中止していたためです。
まずはポンペイの遺跡から。まさかの3回目の訪問、そして3度目の正直。見事なくらいの快晴。過去2回は大雨。2回目はつい2週間前のこと。
こんなにはっきりとヴェスヴィオを見たのは初めてかもしれない。
でも、妻ときたときに大雨しかも雷雨で観光できなかったことを考えると、ちょっと複雑な思いもしました。
それにしても広大な遺跡です。現代でも大都市と言えるくらいの規模のようにも思えます。
そして続いて向かったのはナポリ。もう何回も来ているのに実はまともに市内観光をしたことがなかったのでゆっくりと回って見ることにしました。
散々苦労させらせたこともあり、もはや南イタリアの大都市ナポリ市内での運転もだいぶお手の物に。強引な割り込み、よくわからない車線構成、突然の飛び出しなども、もうそんなに苦にならなくなりました。こちらも隙間あらば割り込めるようにはなってます。
それでも心配なのは駐車。やはり気になるのは車上荒らし。
幸いにも初日に泊まった駅前のホテルにガレージがあることがわかり、その場所も明確に把握していたので、Googleナビを使ってあっさりと到着。
一晩20ユーロもいろんなリスクを考えれば妥当。
ホテルに到着はしたものの、12時で早すぎたせいかまだ部屋の準備が出来ていないということだってので、重たい荷物を預けて早速市内観光に向かいました。
まずは地下鉄で考古学博物館へ。
規模はそれほど大きくないのですが、ここにはポンペイを始めとしたナポリの周辺の古代遺跡から収集された貴重な作品が多く貯蔵されています。
圧巻は何と言ってもこのマケドニア王アレキサンダーとペルシャ王国ダレイアスとの戦いのモザイクでしょう。
世界史選考ならば必ず見たことがあるこのモザイクは、あのポンペイから出土されたもの。ポンペイはヴェスヴィオの噴火で一瞬にして火山灰に埋れて、滅びそのまま1700年近く地下で眠り続けたこともあり、遺跡はもちろんのこと、この街にあった保存状態が良好だったみたいです。このアレキサンダーとダレイアスのモザイクもそんな保存状態がよかった作品の一つ。
続いて向かってのはヌオーヴォ城、王宮、サンカルロ劇場があるエリア。
とりあえずサンカルロ劇場の前に来たところ、なんと今夜コンサートがあることが判明。これは聴きに行くしかない。最後の最後で素敵なプレゼント!
曲目ですが、ドビュッシー、グラズノフ、チャイコフスキー。なかなかよい組み合わせ。メインのチャイコは悲愴、実は生演奏は初めて聴くかも。そしてグラズノフはコンチェルトということではじめはヴァイオリンコンチェルトかなと思ったのですが、よく見るとサクソフォーンとなっている。グラズノフそんなコンチェルト書いていたんですね。これは楽しみだ。そしてよく見るとドビュッシーもサクソフォーンのためのラプソディということで、非常に珍しく貴重な演奏会に巡り会えたなあと感激してしまいました。
迷わずチケットオフィスへ。オペラ座のボックス席も惹かれましたが、きちんと聴くなら下のフロア席の方がいいので10列目中央左側の席を選択。60ユーロでした。
その後は王宮を見学。豪華絢爛な王宮を見学。
個人的にはカゼルタの方が良かったかなあ。
この時点で17時を過ぎていました。ホテルへのチェックインや翌朝の準備もあるので一旦ホテルへと戻ることにしました。
そして少しホテルで休憩してから再び地下鉄でサンカルロ劇場へ。思った以上にはやくついてしまい、時間を潰すのに苦労しましたが、20時ちょっと過ぎに会場。
はじめてのサンカルロ。美しい!素晴らしい!
演奏はどうだろう?わくわく。
まずはドビュッシー。相変わらずつかみどころがよくわからないドビュッシー、しかしこのラプソディは長さも程よく終始楽しめました。ドビュッシーの曲想はサックスと相性いいかも。
2曲目はグラズノフのサクソフォーンコンチェルト。弦とサクソフォーンという構成なんですね。グラズノフって結構ロマンチックなメロディー多いですよね。時代もちょうどその頃の人かな?コンチェルトの構成としてはなんとなくヴァイオリンコンチェルトと似たような感じでしたが、相変わらずの感傷的なメロディーはさすがです。
さてさてサックスの出来はというと?正直、よくわかりませんでした(笑)クラシカルなサクソフォーンってあまり聴いたことがないから比較ができないー。しかも生演奏ということもあって。
オケの方はどうかというと、そうですね一言で言うとまさに「イタリアン」なオケ。軽快で明快なオケ、そして早いフレーズになると勢いや技術はあるけどちょっと縦のラインが合ってない、でもすごい雰囲気は出てる。
たまに走ったり飛び出ちゃう人もいたり、プロオケとしてどうなのよって思う側面もある一方、官能的なフレーズ、アモーレなフレーズはさすがイタリアンオペラを演奏するオケ、また弦でいうところの飛ばし弓、これも正に軽快イタリアンな感じですごくよかったです。管楽器も、「らしかった」です。
そんなオーケストラの特徴が出たのがまさに悲愴!言う慣れば「歌劇:悲愴」といったところ。
これはこれでありかなあと。そこそんな弓飛ばす?軽快で明るくて楽しそうな金管などなど。大満足でした!
ちなみに聴衆もうやっぱり「イタリアン」かな?まずおしゃれな格好をした人が多かった。意外とヨーロッパのクラシックコンサートはカジュアルな格好の人が多いイメージでしたが、割りとドレスアップした人たちが多かったです。でもどうやらそれは観光客らしかったです。
残念というかやっぱりイタリアかよってのは、演奏中もよく喋る人がいた事。特に後ろの人はずっと喋ってた。これは良くない。
休憩時間が10分だけというのも驚きました。でもこれは南イタリア仕様(笑)、つまり彼らの10分は20分のようなもの。実際そうでした(笑)
それでもなんとなく軽くて明るい感じで、固くない雰囲気、全部とは言わないものの、日本のクラシック会でも少しは取り入れてもいいかもしれない。
確かに(よくあるのかもしれないけれど)悲愴の3楽章で盛大な拍手、ブラボーの嵐はどんなものかとは思ったりもするけれど、それはそれでありなのかなあと。ちょっと日本の演奏会は硬すぎるところもあるので。
素敵な演奏会を終えて帰宅。帰りは劇場前からタクシー。駅前のホテルまでは10ユーロ。運転手さんも親切。確かに慣れていない土地、さらには運転が乱暴で有名なナポリでも、実は実際に運転した身からすれば、運転手さんのほうがよっぽど僕よりもジェントルな運転をしていたと思います。
乱暴そうに思えるのは、日本車ではめったに味わえないMT車独特の加速感、そして石畳の影響による揺れだと思います。
道の選択の仕方もベストルート。ヨーロッパって一方通行の道が多くてぐるぐる回って目的地に向かうことが多いから、その感覚がわからない日本人にとっては、無駄に遠回りされてぼったくられているように感じてしまうんですよね。
でも、これも実際にナポリを含めいろいろなヨーロッパの街を運転した経験からすると、タクシーの運転手さんは絶対と言っていいほどそんなことしない、必ずと言っていいほどベストルートを運転する。なんだかそれを見出すことに職業人としての誇りを感じているかのように。
思った以上にはやく快適にホテルに帰ってこれたので、シャワーを浴びたあと、ゆっくりと荷物の整理。そして24時前に就寝。
こうして2014年のGWの旅は終わりを告げました。
がしかし、日記はあと1回続きます。