訪問日時:2018年5月7日、午後1時頃
今回の旅行は短い日程ながらも大変充実した旅となりました。そして終始雲ひとつない快晴という絶好のコンディション。
北フランス、フランドル地方にある街「ヴァランシエンヌ」
この日はベルギーにあるリゾート地オステンドから再びフランス領内へ向かっていました。そして、北フランス、いわゆるノール地方中心にドライブ、この日最初の目的地は、自転車クラシックレースで有名なパリルーベにて名物の石畳のルート(Pavé d’Arenberg)を訪れたとき、偶然発見したのが今回ご紹介する「ヴァランシエンヌ美術館」です。そのパヴェの入口にあったノール地方の観光名所を紹介する案内看板を見ていたところ、このパヴェから15分ほどのところにあるヴァレンシエンヌという街に美術館があることが判明。この日は少しだけ時間を持て余していたので、立ち寄ってみることにしました。
地図で場所を確認。ほぼベルギーの国境付近です。
Wikipedia 情報を中心とした抜粋に近いですが、町の歴史について簡単に説明をしましょう。
人類の歴史にこの街が初めて記録されたのは7世紀ころ、フランク王国の王クロービス2世が統治する時代に書かれた書物に、この街が「ヴァレンティアナ(Valentiana)」という名前で記載されているということです。843年のヴェルダン条約(下記参照)後は、ネウストリアとアウストラシアの国境に位置する中立都市となりました。一時的にノルマン人によって制服されていましたが、923年に神聖ローマ帝国より独立していたロタリンギア公国にその支配を引き継がれました。それからの中世の時代は、帝国国境の市場の中心地として栄えたということです。
ヴェルダン条約とは
843年にフランク王国(カロリング朝)の王ルートヴィヒ1世(敬虔王、ルイ1世)の死後、遺子であるロタール、ルートヴィヒ、カールがフランク王国を3分割して相続することを定めた条約。この条約によって東フランク王国・西フランク王国・中フランク王国が誕生し、それぞれ現在のドイツ・フランス・イタリアの原型が形成された。(Wikipediaよりhttps://ja.wikipedia.org/wiki/ヴェルダン条約)
訪れたのは美術館だけでしたが、フランドル地方文化を感じさせる中央広場、市庁舎、教会もきれいみたいだったのでもう少し時間を作ってゆっくりできたらよかったなと思いました。またしても再訪候補リストが増えました。
美術館とその歴史
公式のサイトはこちらになります。フランス語のみのようです。
公式サイトを斜め読みした程度の理解ですが、この美術館のなりたち、フランス国内にある他の美術館(現地ではMusée des beaux-arts de … と呼ばれている美術館)とは異なるとのことです。フランス全土にある美術館は、もともとはフランス王室の私的なコレクションが、フランス革命によって国民のものとなり、それを王族や貴族のお屋敷に展示し一般市民に公開する、という方法で美術館となったところがほとんどです。しかし、このヴァランシエンヌ美術館はそうではなく、もともとは地元の美術学校でしたが、1801年8月11日に「市立美術館(musée de la Ville)」として、その美術学校のコレクションを一般公開するようになったのが始まりだったということだそうです。
その後、この美術館は市庁舎へ移転、名称を「musée de peinture et de sculpture de Valenciennes」に変更、さらに19009年からは、建築家Paul Dusart (1865-1933)によって建てられた現在の建物に移転、名称も現在の「Musée des beaux-arts de Valenciennes」となりました。1995年にリニューアルしたそうです。
コレクション
この美術館のコレクションは、主にフランドル、フランスで活躍した芸術家たちの絵画や彫刻です。さらに一部の展示は、パリのルーブル美術館から所蔵を委託されている作品もあるようです。現在、展示されている主要な作品は第2次世界大戦後から当美術館のコレクションに加わったもののようです。詳しくはすべてフランス語ですが、作品の写真入りで公式サイトに掲載されています。
公式サイトより:https://valenciennesmusee.valenciennes.fr/collections/chefs-doeuvre.html
一番の見所はやはりこのルーベンスの「Triptyque de saint Étienne」でしょう。非常に大きくて迫力あります。
公式サイトの解説:https://valenciennesmusee.valenciennes.fr/collections/chefs-doeuvre/triptyque-de-saint-etienne.html
館内にはところどころに作品の解説が書かれたパネルが置かれています。しかしフランス語オンリーだったと思います。
あと個人的にはフランス彫刻好きなのですが、もちろんこのジャンルの展示もありました。多くはこの美術館の中央の間に展示されていました。
彫刻に関しての詳しい解説も公式サイトにありました。
公式サイト、彫刻コレクションの紹介:https://valenciennesmusee.valenciennes.fr/collections/chefs-doeuvre.html
とりわけここには、地元ヴァランシエンヌ生まれの19世紀の彫刻家「エルンスト・イオール(Ernest-Eugène Hiolle)」の作品が数多く展示されています。彼は1852年にローマで開催された彫刻コンテスト(そんなものがあるのですね!)でグランプリを獲得した、と館内の解説パネルに書いてありました。
その中央広間の真ん中に飾られているのが彼の代表作の一つ「Narcisse」。
なおイオールの作品はパリのオルセー美術館、同じく北フランス・リールの美術館でも見ることができるということです。
以上、偶然見つけた北フランス・フランドル地方のヴァランシエンヌ美術館のご紹介でした。フランス語、少しは理解できるようになったため、こうして地元で情報収集しながらの旅ができるようになったのは大きな財産です。とはいってもまだまだ片言しか理解できません。もう少し流暢になれば、こうした美術館でも訪れたとき・リアルタイムで、もっと楽しめるようになるでしょう。勉強する時間はなかなか取ることができませんが、今後のライフワークの幅を広げるためにも、フランス語の勉強は継続していきたいと考えています。(続く)