訪問日時:2018年7月21日、22日
今回最も楽しかったルーマニアの世界遺産です。認定されている遺産がトランシルヴァニア地方ないですが複数にまたがっています。トランシルヴァニアは、恒常的にトルコやタタールの脅威にされされていたため、大きな街のように城壁で囲むことができない小さな集落は丘の上の教会を要塞化して、外敵の脅威に備えることにしたということで、そのユニークさから1993年(1999年に拡張)にユネスコ世界遺産に認定されました。
7月21日と翌日22日はトランシルヴァニア地方の要塞聖堂のある村落群巡りを行いました。世界遺産の要塞教会は7箇所あります。このうち我々が訪れたのは、前日にブラショフ入り、午後からシギショアラへ向かうまでの間で2箇所「ヴィスクリ(Viscri)」と「サスキズ(Saschiz)」、そして、翌日はシギショアラ郊外1箇所「ビエルタン(Biertan)」、そして再びブラショフへ戻りその郊外1箇所「プレジュメル(Prejmer)」、合計4箇所の要塞教会を訪れました。
ヴィスクリ(Viscri)
はじめに訪れたヴィスクリ(Viscri)は、ブラショフとシギショアラのちょうど中間に位置しています。少なくとも12世ころに建てられた教会なのだそうです。
この2つの街を結ぶ大きな街道E60号線から途中細い地方道にそれて向かいます。主要街道こそ、野良犬があまりに多くて驚きはしたもののよく舗装されていたのですが、ヴィスクリ(Viscri)まで続く道は、道路工事の途中だったり、舗装がぼろぼろだったりして、とても走りづらかったです。途中から本当にここであっているのか、あっていてもたどり着けるのか、という不安に駆られました。
ちなみにこのE60号線、時折街道沿いに中世のお城らしきものがいくつか点在しており、ドライブしていてとても楽しかったです。
ヴィスクリの街に到着。駐車に関してはどこにでも停められる感じでした。クルマを停めるところに何人もの観光客がいたので、その方たちが向かっている坂の上にいっしょに向かったところに要塞教会はありました。
現在は境界付近一体が公園のようになっています。
建物の入口付近にチケットオフィスがあり、そこで入場料を払ってから中へ。
内部は見た目以上にいろいろな部屋があって大変おもしろかったです。もちろん教会なので小規模ながらも非常に神聖さを感じる聖堂があります。
それ以外にも何人もの人が宿泊できる部屋、食料等の貯蔵庫跡などを見ることができました。各部屋は現在ちいさな博物館になっていて、当時の民族衣装などを中心とした展示物がありました。
そして要塞なので中央には監視塔があり、ここから広大なトランシルヴァニアの景色を見渡すことができます。
ヴィスクリの要塞教会は、7つある登録遺産の中でも最も美しい形をしていたと思います。
サスキズ(Saschiz)
次に向かったサスキズ(Saschiz)は、再びブラショフ・シギショアラを結ぶ大きな道路に戻り、さらにシギショアラ方向へ向かったところにあります。非常にシギショアラに近いところにあります。この街道沿いに位置しているので見つけるのはカンタンです。
ヴィスクリと対象的にここはただ教会があるだけでした。しかも中には入れなかったので、外から見学するだけでした。街自体は14世紀頃からだということです。
ビエルタン(Biertan)
ビエルタン(Biertan)は、7つ登録されている最も有名な要塞教会です。1993年に最初に要塞教会が世界遺産に登録されたときには、ここビエルタンのみが対象でした。場所はシギショアラから西へ30分程度行ったところにあります。シギショアラとセットで観光する人が多いようですね。
シギショアラからE60号線をシビウ方向へ向かい、途中南に折れそこから10分弱でビエルタンに到着します。要塞教会の目の前が村の中心、そこにある中央広場に駐車することができます。ここには駐車場の係員がいて、日本円にして200円程度の料金を取られました。正規の係員でないよくわからない人がお金を請求してきたりするので要注意。最初、あやうく騙されて変なおじさん(じいさん)にお金を渡してしまいましたが、直後、身分証を持った正規の係員が来たため、すぐ走っていきわたしたお金を回収してきました。
プチトラブルはありましたが、肝心の要塞教会は、さすが一番最初に世界遺産に選ばれただけあって強靭さ、風格を感じさせるものでした。3重の城壁に囲まれているあたり迫力を感じました。
中央には非常に立派な聖堂があります。内部は大きくとても見ごたえがありました。
プレジュメル(Prejmer)
プレジュメル(Prejmer)はブラショフの北東に位置する要塞教会です。こちらもビエルタンに負けないほど大変強固な城壁に囲まれていました。
今回訪れた要塞教会のなかで最大規模を誇る場所でした。内部にお土産さんがあったり、博物館も充実しているなど、今回訪れた要塞教会のなかでは一番観光地としては整備されていたように思いました。
なんといってもここの特徴は、膨大な数の集合住宅エリア。内部の教会を丸く覆う城壁内におそらく千人以上の人が住めるくらいの部屋数があったと思います。
以上が今回訪れた教会要塞となります。限られた資源の中、他民族の侵略を防ぐために中世の人が工夫を凝らしていたこともさることながら、他民族の侵略を許すということが如何に恐ろしいものだったのかをあらためて理解させられた遺跡でした。全体的な雰囲気としては、非常にRPG風の要素がたっぷりで、ロマンあふれる観光地だったと思います。
ルーマニアの観光はこれが最後。このあと2日前に来たときのようにカルパティア山脈を超えて再びワラキアへ戻り、空港でクルマを返し最後に空港付近のアパルトマンへと宿泊しました。この話題を次回はご紹介します。