訪問日時:2016年5月6日午前10時頃
バルセロナ滞在最終日
さあバルセロナ滞在3日目となりました。この日は午前中にバルセロナ観光をした後、この街を移動します。天気が良ければ午前の早いうちにタラゴナという街にある海沿いの遺跡などを見てから、再びカスティーリャに戻ろうと思っていたのですが、残念ながら雨のようなので、次回に回すことにしました。
さて、バルセロナ観光最終日、朝一番で向かったのは若き日のガウディが設計した「グエル邸」です。場所はバルセロナ港に比較的近いこのあたりにあります。
現在、このグエル邸は市の所有となっています。1945年にグエル邸設計をガウディに依頼したエウセビ・グエルの末娘であるメルセ・グエル・ロペスが文化利用を目的にグエル邸をバルセロナ県議会に譲渡しました。
場所は路地裏にあります。
当時の様子はわかりませんが、実はこのグエル邸、細々とした街の路地にあって、確かに大邸宅ではあるのですが、外見的には、一般的にイメージされる大きな庭のある典型的な大邸宅とは大きく違う気がします。
というわけで、ここは地下鉄L3のリセウ駅から徒歩数分で簡単にたどり着くことができますが、方角を間違えたりすると見つけづらかったりするかもしれません。
グエル邸もネットから予約できます
こちらのチケットもグエル公園やサグラダ・ファミリアと同じく事前にネット予約をすることができます。
現地でも直接購入することは可能ですが、混雑する時期、仮にそうでなかったとしても事前予約のほうがよいと思います。特に年々バルセロナは観光客が増えているのか、あるいは入場制限をしているのか、いずれにしても、僕らがこれまで持っていた「古い」感覚ではバルセロナは観光しづらくなってるのかもしれません。
なお、予約時間ですが朝一番の10時の枠にしました。
若きガウディ作品のひとつ
翌朝、ホテル近くのカフェで簡単に朝食を済ませてから、地下鉄で現地へと向かいました。20分程前に現地に到着しましたが、すでにたくさんの人。でもその大半は中国人団体客。ちょっとこの10時の枠は失敗したか…、でも今さら変更はできないので、建物前で開館を待ちます。
そして、10時になりいよいよ開館。中国人観光客が開館前にたくさんいましたが、中には入らないようでした。以前カルカソンヌでも同じような光景を目撃しました。ということで、いざ開館してみると、予約していたこともありますが、さほど並ばずに内部に入ることができ、そして意外と空いていました。
入口でまずオーディオガイドとパンフレットを貰います。オーディオガイドを日本語版にしたため日本語のパンフレットを渡されました。フランス語のオーディオガイドにすればフランス語のパンフレットだったのでしょうけれど、まだまだそこまでフランス語はできるようになっていないので諦めました。(※今回はスペイン旅行ですがほとんど場所でフランス語対応しているので、勉強のために極力フランス語のパンフレットをもらうようにしていました。)
鑑賞は番号順に行います。まずは地下の馬小屋から。建物の一番下ということでしっかり支えられる構造にしなければいけない、さらには馬小屋ということで通気性も確保しなければならない、それが十分に満たされつつ美しい設計だと、オーディオガイドでは説明されていたと思います。
続いて、階段で上のフロアへと登りました。美しい階段や門などをくぐり抜け、建物の中央にあるホールへと向かいました。
この中央のホールにはなんとパイプオルガンがあります。そして、自動演奏ではありますが、定期的にこのオルガンが演奏されます。中央のホールにオルガンの音が響き渡っていました。さすが大邸宅。
このグエル邸は、1886年から1890年にかけて建てられた若き日のガウディの作品。なおこの建物は、ガウディが完成させた建築で唯一、完成後から改築が一切行われなかった唯一の建物だそうです。
ガウディの作品は、サンパウ病院やカタルーニャ音楽堂を設計したモンタネールとは対称的に、色彩的にはそれほど華美ではないのですが、より曲線的な表現が特徴的な気がします。曲線的、というかこれも幾何学的に計算された曲線美、そんな感じがしました。
また、これまた素人的な印象でしかありませんが、グエル公園やサグラダ・ファミリアと比較すると、初期の作品だからしょうか、比較的落ち着いた雰囲気がします。僕はこちらの雰囲気のほうが好みかもしれません。
屋上は雨天のため見ることができませんでした
残念ながら雨でした。でも邸宅なので関係ないかな、と思ったらここは屋上のテラスも見どころなのですが、そこは雨の日は開放しないようでして、よって見学することができませんでした。
グエルさんって何者?
エウセビ・グエルさんは、1846年にバルセロナで生まれ、1918年に同じくバルセロナでなくなった、政治家であり実業家。実業家としての実力と才能はもちろんのこと、若い頃はフランスやイギリスで、法律学、社会学、物理学、化学、経済学に数学といろいろな分野を学んだとても教養のある方だったようです。
そして、芸術にも大変理解のある方でした。カタルーニャだけでなく世界中の芸術、音楽や文学にも興味を持ち、それらのスポンサー、プロモーターとして活躍したのだそうです。
そうしたなかで生涯で一番の盟友と言うべきアントニーガウディと知り合い、そして彼の才能を開花させ進化させるべく、自らスポンサーとなり、このグエル邸を皮切りに、コロニア・グエルやグエル公園などの設計をガウディに依頼するようになったということです。スポンサーと建築家という関係だけではなく、公私に渡り彼らは交流を深めていったそうです。
こうした偉大な理解者と芸術家が同じ時期にいたからこそ、今日我々はサグラダ・ファミリアを始めとした素晴らしい芸術建築を見ることができるわけです。
12年ぶりのグエル邸を満喫。もう少し時間があるので、ミロ美術館へ向かいました。これが最後のバルセロナ観光となります。(続く)