訪問日時:2015年5月8日
モロッコ旅行最終日、はじめにモロッコ北部に残る壮大なローマ帝国の遺跡へ。
遺跡までのほのぼのとした道のり
いよいよこの旅行の最終日がやってきました。この日は、はじめにメクネスの北およそ30kmにある「ヴォルビリス遺跡」を鑑賞、そして、モロッコの首都ラバトへ向かいここで1泊します。
大変お世話になった2泊したフェズのリヤドをチェックアウト。宿泊費はAirbnb経由で支払っていますが、それ以外のサービス料と市税、到着初日にいただいた夕食代は出るときに支払いました。
そして、来た時とは反対のルートでフェズ・エル・バリ北側のギッサ門へ。そのすぐ先の駐車場にて2日ぶりのクルマと再会。駐車料金は既に支払っていましたが、これってどういう仕組で管理されているのか全くもって不明。もしかしたら出るときにまた料金要求されたりすることもあるかと不安でしたが、どうやらだれもクルマには寄ってこないようなので、そのまま出発できそうでした。
そして、荷物を詰め込み、目的地ヴォルビリスまでのGoogleマップナビの設定完了。いざ出発です。
フェズの郊外へ出るまでは、朝の混雑に巻き込まれましたが、郊外へ抜けるとあとはほのぼのとした田舎道が続きました。一旦メクネスまで高速で移動してから北上でもよかったのですが、時間的余裕もありましたので、Googleナビが示す一般道ルートをゆっくりと運転しながら、景色を楽しむことを選びました。
田舎の一般道は相変わらずの中途半端な舗装。舗装されているのは道の真ん中だけのところがほとんど。
ということで、対向車が来ない時は道の真ん中を堂々と走ります。来た場合にはもちろん避けます。当然片側の車輪は舗装されていない上となり揺れが激しくなるのですが、これにはもう慣れました。
ちなみにライバルは対向車だけではありません。ヤギや牛もいますので、油断禁物です(笑)。
こういう光景にも、フランスの最も美しい村巡りで慣れされましたが。
ヴォルビリス遺跡に到着
このようなほのぼのドライブを続けることおよそ1時間30分、広大な草原に佇むヴォルビリス遺跡に到着。時刻は11時前くらいだったでしょうか。
遺跡には駐車場が完備。遺跡の目の前にあります。係の人はいましたのでどうやら有料のようです。帰りに支払えば良いということで、モロッコでは標準的なタイプ。
すでに多くの観光客で賑わっているようでした。とはいっても日本の観光地、都会の観光地と比べれば人はまばらで観光はしやすそうです。
モロッコにあるローマ遺跡群の中では唯一の世界遺産
さて、ここヴォルビリス遺跡は世界文化遺産に登録されています。モロッコにあるローマ遺跡群の中では唯一の世界遺産なのだそうです。ローマ人がここに街を建設したのは紀元1世紀頃とのこと、第3次ポエニ戦争を終え、このあたりの覇権が十分に確立された頃といえるでしょう。帝国時代にはこのあたりは帝国の西限ということで、ヴォルビリスはその防衛の拠点ともなる重要な都市だったそうです。
そして、世界の他のローマ時代の遺跡と比較しても、非常に保存状態がよいことで有名だとのこと。
こちらが入り口の門。
この門をくぐったすぐ脇のブースで入場チケットを購入し、いざ内部へと入ります。
壮大なフォーラム跡と凱旋門
遺跡の佇むエリアは小高い丘の上にあります。駐車場やチケットブースのある場所からこの丘へ向かうには、一旦小さな谷を通過します。入り口から遺跡エリアまでは徒歩2分程度の距離。
それにしても立派な建築物が多い。ここは[highlight]「フォーラムとバジリカ礼拝堂跡[/highlight]。当時は集会や裁判を行う際に使用された場所。街の中心、政治の中心であったところです。その後、ローマが衰退してキリスト教徒が進出してくると、ここは礼拝堂として使われるようになったそうです。
建物のアーチがとても美しいです。
なお、このフォーラムの柱の上にはコウノトリの巣がありました。近くで見るととっても大きいです。モロッコではところどころでコウノトリを見かけます。
そのフォーラムを過ぎると、北側にさらに印象深い建築物が見えてきます。[highlight]「カラカラ帝の凱旋門」[/highlight]です。
カラカラ帝といえばローマ帝国皇帝の中でももっとも有名な皇帝のひとり。特に観光客にはお馴染みの皇帝ですよね。カラカラ帝は、ローマ史上に残る暴君だったそうですが、一方で、アントニウス勅令を発布し、ローマの全属州民にローマ市民権を与えたという功績でも有名。この勅令は、事実上、ローマ帝国において人種差別の撤廃につながったとされるもので、歴史的にも非常に大きな意味を持つそうですね。おそらく世界史を勉強した時に習ったと思いますが、すっかり忘れておりました。(出典:WIkipedia、地球の歩き方「モロッコ」を元に加筆。)
遺跡内にある大きな建築物は以上といったところです。
あとは、居住エリアの遺跡が続きます。
ここは、街のメインストリート跡。「デクマスヌ・マクシムス通り」と呼ばれていたところのようです。水道インフラもしっかりしていて今でも下水道ではありますが、しっかりと利用できているそうです。
まるで美しいモザイクの美術館
さて、ヴォルビリス遺跡には、上で紹介したフォーラムや凱旋門以外に、もう一つ大きな見どころがあります。それは、各住居跡に残されている[highlight]石で出来たモザイク画跡[/highlight]です。しかもその数がとても多く大変充実しています。まるで美術館観光をしているかのようでした。通常ローマの遺跡から出土されたモザイクは、考古学博物館に保存されるケースが多い中、これだけの量を見れるのは大変珍しい方なのではないでしょうか。なお、主要な出土品は、首都ラバトの博物館に保管されているとのことです。
以下、鑑賞した順不同でご紹介。
「ヴィーナスの家のモザイク」
「ディオニュソスと四季の家のモザイク」
「オルフェウスの家のモザイク」
「デザルターの家のモザイク」
「騎士の家のモザイク」
「ヘラクレスの家のモザイク」
「その他のモザイク」
この時代のモザイクは非常に美しいもの、見応えあるものばかりだと思います。ちなみにこれまで見た中で一番良かったのは、やはりポンペイの「マケドニア王アレキサンダーとペルシャ王国ダレイアスとの戦いのモザイク」ですね。出土はポンペイですが、実物はナポリの国立考古学博物館にあります。歴史好きには必見だと思いますね。
(その時の様子)
ポンペイナポリ観光、イタリアンなオケを堪能 2014年5月 イタリアの最も美しい村巡り 現地レポート No.17 | my lifelog yuu-koma.jp http://www.yuu-koma.jp/?p=9170
見応え十分のヴォルビリス遺跡。とても楽しむことが出来ました。鑑賞時間正味1時間30分程度、ちょうど観光していたのは正午前後でしたので、とても暑い中での遺跡鑑賞でした。
鑑賞を終え、駐車場に戻り、駐車場の係の人に20DH程度(正確には忘れてしまいました)を支払い、遺跡を跡にします。
さあ、目指すは最後の宿泊地「モロッコの首都ラバト」。(続く、次回で最終回か?)