2016年7月 フランス「印象派とグルメの旅」 3-9章:パリのシテ科学産業博物館

2016年7月 フランス「印象派とグルメの旅」
2016年7月 フランス「印象派とグルメの旅」

訪問日時:2016年7月24日、午前

18年前にも行っていたと思われる科学技術館へ

ツール・ド・フランス最終日のパリ。選手が到着するのは夕方なので午前中はパリ市内を観光することにしました。この日最初に訪れたのはパリ市内の北東にある「シテ科学産業博物館(La Cite des Sciences et de L'lndustrie)」です。

実はここ、うろ覚えですが18年前にはじめてパリに行った時に訪れたことがあった気がします。そのときはフランスワールドカップのツアーのときで、なんかここで講演を聞かされた覚えがあります。開館は10時から、ちょうど着いたときが開館時間でした。やはり家族連れが多かったです。

中へ入るとかなり広い空間。やはりなんとなく見覚えがあるような。入場券は案内カウンターで対人で購入することも出来ますが、入口近くの自動販売機でも購入可能です。朝イチだったのでまだそんなに人はいなかったとはいえ、自動販売機で買うのを試みたのはなんと我々夫婦だけでした。みな対人の受付に並んでいました。

うっかりして機械の写真を取るのを忘れてしまいましたが、上の写真はちょうどその機械がある当たりからの撮影。なぜすぐ近くにある機械を使わないのか謎でした。キライなのかな。

ちなみにどうして機械を選んだのかというと、単にこっちのほうが面白そうだって思っただけなのですが、ふたりでわいわいしながら面白がっていたら、使い方がわからないって思われたのか、近くにいた(多分)学芸員さんが「Je peux vous aider? Can I help you?」と話しかけてきました。まあ会話の練習になるからいろいろ教えてもらいながら使ってみようと思ったのですが、やはりフランス語は拙いのですぐに英語での説明に切り替わってしまいました。残念。

子供向けとは思えないくらい本格的な内容で驚き

無事チケットを購入後はエスカレーターでグランドフロアから上の階へと向かいます。このエスカレーター前でチケットチェックを受けます。

さてこの科学技術博物館ですが、やはりお国柄が出ているのか、フランスの科学教育と日本の科学教育の差を感じました。日本はとにかく説明は深掘りせずとにかく覚えようとさせるところに重きを終えている気がしますが、フランスはとにかく(言い方はよくないですが)理屈っぽい!たとえ子供向けであってもしっかりと概念を正しく伝えるという姿勢が強くあらわれていた展示だったと思いました。

数学のコーナーがさすがフランス!

個人的に興味もあり知識も程々にある数学と物理の展示コーナーに行ってみました。まあ普通あまり行かないでしょう笑。一般向け子供向けとは思えないくらい本格的な内容で驚きました。まあフランスと言えば近代現代において、特に数学分野では世界最先端行っていますからね。

数学のブースの最初なんていきなりトポロジーの説明からでしたよ。「2次元リーマン面のジーナス」の話。だいたい日本にこんな本格的な数学の展示とかない気がします。

そして「最小作用の原理」の説明ブース。そうオイラーやラグランジュの業績ですね。大学で物理を先行していた人なら誰でも知っているアレです。これをどう一般向けに説明するのかって?これが素晴らしかった。

一応簡単に解説しておくと、左上の地点から右下の地点まで、重量下のもとでの最短距離はどうなるのか?という問題を解くのに用いられる原理。左上の地点からボールを離したとき、青と赤どちらのルートを通ったほうが先に右下の地点に着くのか、これを実際の実験装置で再現していました。

一応解説文がありましたが、果たして理解できる人はどのくらいいたのだろうか。

そのすぐ近くには同じく最小作用の原理(エネルギー最小化)と幾何学との関係を理解するためのシャボン玉の展示がありました。表面張力を使って、境界条件(シャボン玉をつくる装置の枠や点のこと)がある場合にどのようなシャボンの膜ができるのかをビジュアル化です。よく考えられているなあと感心しながら見ていました。

表面張力の大きさは表面積に比例するので、最小作用の原理から実際に安定化するシャボンの膜の形は、枠で固定された境界条件をみたす面積が最小となる面となるわけです。

高度な展示はまだまだ続きます。続いては統計学。「ガウス分布を体感するコーナー」。こちらもそのアイデアに感銘しました。二項分布の極限=ガウス分布をビジュアル化するとかさすがです!

いい大人がさすが数学先進国フランスすげーってひとりで盛り上がっていました。というかこの数学コーナーあまり子供はいませんでしたね笑。

物理のコーナーはちょっぴり充実

その他にもいろいろコーナーはあったのですが、昔の飛行機などが飾ってあるなど子供だまし(失礼)のものが多かったので、ますます人の気配を感じない物理のコーナーへと向かってみました。

まず天体のコーナーとかありましたがそれをさっと見た後、上の階へ。

20世紀の物理コーナーへ。量子力学のコーナーがありましたが正直これは面白いのかな?知っている人にとってはおおーシュレーディンガー、おーディラックなどといって盛り上がるでしょうけれど。

別にこの施設は子供向けではないとはいえ、シュレーディンガーの猫の概念はちょっと子供には難しすぎる気もしますがどうなんでしょうね。この展示くらいしかないし…。しかし、それでもしっかりと大事な概念を伝えようとする姿勢は素晴らしいと思いました。

続いて一般相対性理論のコーナーもありました。これは昔18年前にも見た?いやそのときは重力レンズ効果のブースはあったような気がします。

当時ちょうど大学で一般相対論を習っていましたからね。しかし、パネルや写真程度で具体的なイメージを表現する展示はなかったと思います。

GPSに関する展示は18年前にはまったくなかったと思います。18年前はGPSどの程度ポピュラーだったのかな?カーナビはあったかな?ちなみにGPSが一般相対性理論を利用して位置情報を特定している、という事実は世の中でどの程度知られているものなのでしょうか。

それ以外の展示もいくつかあり、それらも鑑賞しましたが、今回ご紹介するのは分野が偏って恐縮ですが以上2コーナーとさせていただきます。

フィルハーモニー・ド・パリとサンマルタン運河

ところで、この科学技術館があるあたりは大きな公園になっています。ここには2015年に出来たばかりの新しいコンサートホール「フィルハーモニー・ド・パリ」があったり、更に少し歩いていくとサンマルタン運河などがあるので、科学技術館以外の目的でも大いに行く価値のあるエリアです。

我々は科学技術館鑑賞を終えたあとはこの公園をしばらく散歩して時間を過ごしました。

さて、長らく続いた2016年7月 フランス「印象派とグルメの旅」も、いよいよ次回が最終回となります。最後は原点にもう一度立ち戻り、パリでの美術鑑賞のレポートを予定しています。(続く)

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