訪問日時:2016年4月26日
カタルーニャの田舎にあるシトー会派修道院
さて、世界遺産シリーズに戻ります。この26日は2つの世界遺産、そして2つの美しい村を巡る予定です。この日訪れた世界遺産はスペインはカタルーニャ州にあるもので、どちらもどちらかというとマイナーな部類に入る世界遺産と言えるでしょう。
場所はバルセロナからクルマだと1時間30分程度、公共交通機関の有無は不明です。まずクルマやバスでないといけないと思われます。外国人観光客はすべてそうでした。
カタルーニャ州といえばカタルーニャ語というわけですが、このカタルーニャ語ってフランス語に似ている感じです。その影響?でしょうか、道路標識も非常にフランスっぽいです。僕はフランスドライブのほうがより馴染みがあるので、なんだかホッとします。
スペインはこのブログで幾度と無く触れておりますが、12世紀頃まではイスラム王朝に支配されていましたので、レコンキスタが始まった12世紀がこの修道院のはじまりのようです。より正確には言いますと、1150年に伯爵ラモン・ベンゲレー4世という人が、自らの領地をシトー会派修道院設立のために寄贈したことが、この修道院設立の起源なのだそうです。(現地でいただいたパンフレットより)
駐車場は充実していました。どこにでも好きなだけ停められるくらい広かったです。でもそんなに人来るかな…。
よく見ると目の前の木に大きな蜂の巣が(写真左上のほう)…。どおりで蜂が多いなと思ったよ…。(現地にいた時には気がつかなかった…)
内部見学はガイドツアーのみ
内部はガイドツアーでの鑑賞となります。エントランスでチケットを買って指定の時間まで修道院の入り口で待機、そしてツアーが開始。なお、説明はすべてスペイン語。おそらく英語のものもあるのでしょう、時間の関係でスペイン語のグループに入ることができました。しかし、日本語のパンフレットとフランス語のパンフレットがあったので、それをチケット購入時にもらい、それを見ながらガイドさんの話を聞いていました。
開始時間まであまり時間もありませんので急いで施設へと移動。この日も良い天気。
カタルーニャ・ゴシック建築
以下、現地でいただいたフランス語のパンフレットに沿ってこの修道院の中を写真付きで説明します。
このポブレー修道院は、「カタルーニャ・ゴシック建築」に属しており、その中でも特に保存状態が良いところという点が、世界遺産に選ばれた大きな根拠だとのことです。詳しいことはわからないのですが、いくつか抜粋となりますが、順を追って紹介します。
まず中に入った直後の小さなスペースが「コポン神父のアトリウム(Atrium du de l’abbé Copons)」、小さな通路みたいなところです。このすぐ右手にある部屋は倉庫として使われており、
反対側の左手は修道士(frère convers:若手の修道士?)たちの食堂だったそうです。ちなみにここはガイドツアーで一番最後に訪れる部屋です。
続いて案内されるのはこちらの回廊の間(Cloître majeur et pavillon du lavabo)。これはヨーロッパの各地でよく見かけるタイプの回廊。12世紀に既に作られており、その後いくつか改修されたようです。
こちらは「修道士の食堂(Réfectoire des moines)」。先ほどの回廊の間に面している施設のひとつです。こちらも12世紀ころに作られたものです。
回廊の間に面している部屋の中で一番印象的だったのはこちらの「教会参事会室(Salle du chapitre)」。13世紀ころのもの。
次に向かう「大修道院付属聖堂(Abbatiale)」へ入室は人数制限されているので、前の組がこの聖堂を見終えるまでしばらくの間回廊の間で待機。
しかし、5分ほどで中へと案内されました。基本的にガイドさんはスペイン語での案内でしたが、フランス語もよく話していました。どうやらフランス人観光客もいたようです。唯一の日本人の僕には英語、しかしほとんど片言の内容しか話してくれません。しかし、僕がフランス語のパンフレットを持っていたとわかると、急にたくさんフランス語で話すようになりました。まあ大半は聞き取れないのですが(笑)
さて、大修道院付属聖堂ですが、ここは一番の見所と言えるでしょう。まずは入って右手にあったお馴染みのパイプオルガン。でも実はできたのは比較的最近で2012年だそうです。スイスのMerzier Orgelcau AGという会社が作ったとパンフレットに書いてあります。
次は祭壇です。テルエルのムデハル様式の教会でも同じものを見ました。祭壇画(retable)というものらしいです。あまり他の国では見かけた記憶はないですが、アラゴンやカタルーニャではポピュラーなのでしょうか。
祭壇の手前の左右には次の写真のように、お偉い方が刻まれたレリーフの立派な横柱がありますが、実はこれ、11世紀から15世紀にかけてこの地で活躍した王族の墓なのだそうです。
聖堂の後は2階のバルコニーに案内されました。
ガイドツアーで案内してくれるのは、この後、一階へ戻り、はじめの方に紹介した若手?の修道士たちの食堂の間まででした。
ガイドツアー終了後、最初に入ってきた入り口のすぐ脇にある「マルタン王の宮殿(Palais du roi Martin)」へと向かいました。ここは14世紀頃に造られたものですが、マルタン王がなくなった1410年以降工事は進まずに未完成のまま現在に至っているということです。現在ここは修道院の所蔵品の博物館となっていますが、中を見るには有料、といっても2ユーロでした。しかし有料とわかると僕以外の観光客全員が中を一切見ずに帰って行きました。
最後に取り残された僕一人で静かにこの博物館の貴重品を鑑賞。とはいえ展示品は多くなく、2部屋にまばらに展示してある程度でした。
これでポブレー修道院の観光終了。広さも程よくそしてガイドツアーのテンポも程よく、とても鑑賞しやすい修道院だったと思います。なによりきれいで美しかったです。僕の訪問した中でも、間違いなくオススメ世界遺産リスト上位に名を連ねる名所だと思います。
なお、この修道院ではワインを作っているので入り口のおみやげ屋さんでたくさんのワインを売っていましたが、まだまだ旅の序盤で保存が難しいため、泣く泣く買うのを諦めました。
さて、続いては3時間以上の移動が待っています。辺鄙の地の世界遺産を目指します。(続く)