ブラックホール

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3次元の結晶模型を使って、ブラックホールの内部構造を「紙と鉛筆」で解明することに成功
数物連携宇宙研究機構(Institute for the Physics and Mathematics of the Universe、以下IPMU)の大栗博司主任研究員と山崎雅人氏(日本学術振興会特別研究員、東京大学大学院理学系研究科博士課程2年)が、素粒子の究極理論とされる超弦理論の計算に3次元の結晶模型を使う方...

1週間ほど前だったかな、google readerに何気なく登録してあったらしいニュースサイトでこのような記事を発見。まさかこんなところでストリング理論のお話が出てくるとは正直驚きました。

この手の話題からは長らく遠ざかっていたのですが、これまた偶然数週間前に数理科学という雑誌の特集「現代数学はいかに使われているか [幾何学編]」というのを読んで、久しぶりにストリングの話に再び興味をちょっともつようになった矢先のニュースだけにものすごくその内容にひかれてしまいました。

そもそもどうしてこうしたニュースが流れてきたかというと、どうやら東大がこんなプレスリリースをしたからみたいです。

http://www.ipmu.jp/pdf/Ooguri_jp_20090408.pdf

正直、ストリング理論を勉強・研究した人でないとなんのことだかさっぱりな解説かもしれませんが、それでも、この分野でこうしたプレスリリースがでることなんて、めずらしい気がするのですが、最近は独立法人化された影響かどうかはわかりませんが、普通になりつつあるのでしょうか。

いずれにしても「よい」ことだと思います。

この論文を書いたうちの一人、大栗さんという人は、僕がもっとも尊敬する日本人物理学者です。この方は世界的に見てもものすごい才能をもった方だと思います。数10年のタームで見てもこういった方が出てくることはまれじゃないかなあ、くらいすごい人だなあと思っています。学生時代の憧れでかつ、絶対この分野じゃやっていけないな、と思わされた方です。

もっとも自分も欲張りというか夢を追いすぎていて、ストリングの真空の確信に迫る研究ができなければ面白くない=意味がない、みたいなことを思っていんですが、それをするためには、大栗さんとかの仕事をきちんと理解してそして対等に議論できるまで達しなければならないなあ、でも無理だなあと。彼らの仕事でよく用いられている(代数)幾何学についても、その当時、僕は大学院修士課程でしたが、この時期においてもあと3?4年くらいこの分野を勉強しないと理解できそうにないなと、だけど、僕がこの分野の数学の基礎をとりあえずわかるようになった頃にはもっと理論は進化している、そう思えば思うほど悲しくなったものです。

でも、彼らほどの理解がなくても、彼らが語りだす深遠な世界、その詳細まではわからないまでも、あらすじ程度であれば、それなりに当時勉強したこともあって理解することができます。

Emergent Calabi-Yau Geometry
We show how the smooth geometry of Calabi-Yau manifolds emerges from the thermodynamic limit of the statistical mechanical model of crystal melting defined in o...

は、その直前の論文を読まないと、詳細な理解はできないのですが、今回行った面白い仕事の「あらすじ」についてはとても要領よくまとめあげているのではないか、なぜなら、今日、仕事中についつい読んでしまいましたが、細かい部分を除けばそんなに時間かからずに読めたからです。

そういえば今回の仕事に関係する仕事、大栗さん、ヴァファさん、ストリミンジャーさん、この手の話のスペシャリストそして歴史を作ってきた人たちが、2004年にトポロジカル弦理論とブラックホールエントロピーのつながりを示したようですが、この話に関する日本語の解説記事を大栗さん本人が書いているそうです。これはぜひ読みたい。トポロジカル弦理論の日本語の記事なんてそうないですし、なにしろその第一人者的な方が日本人でありかつ日本語で書かれているわけですからね。

ところで、大栗さんは今年からでしょうか、日本語ブログを初めているんですね。これが結構面白いです。

大栗博司のブログ
東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構機構長 + カリフォルニア工科大学理論物理学研究所所長 × フレッド・カブリ冠教授

物理を専門とする方でなくても楽しめるかと思います。なんかファインマンみたいになっていかれるのでしょうかねえ、そういえば今カルテクの教授ですね…。

【本日の一枚】

カートレイン@Bad Gastein, Austria, May 2008

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