訪問日時:2015年5月4日
憧れの砂漠に宿泊!
ラクダでの移動
引き続きラクダに乗ってのらりくらりと移動していきます。ホテルから5分くらいでもう砂漠の入り口に到着。いよいよ砂漠です。
揺れ具合等々、はじめての事なので多少心配でしたが、思ったよりも悪くはなかったです。決して乗り心地が良いとまでは言いませんが、苦しい思いをすることは全くありませんでした。概ね良好といった感じでしょうか。ただ、少々怖いなと思ったのが砂丘を下る時。予想以上に下へのGを感じました。ここは手すり(ラクダの鞍に取り付けてあります)にしっかりとつかまってバランスを維持しないと落ちてしまいそうになります。これに慣れるのには少し時間がかかりました。この手すりの幅が狭すぎるのもバランスを維持するのが難しい理由。いずれにせよどうにか踏ん張って落下は避ける事ができました。
こうして順調に進み、10分くらい移動するともう周り一面はすべて砂景色に。そして、日は少しずつ傾いてきて夕方を迎えようとしていました。昼間でも十分に黄金色に輝いて美しい砂丘が、夕日を浴びてさらに美しい色に染まっていきます。
ちなみにこの日は若干風が強かったと思います。コンタクトな私は多少心配では有りましたが、幸いなことに砂が舞い上がるようなものではなかったため、スポーツサングラスをしていれば特段困ることはありませんでした。ただ、そう言っても電子機器に砂が入ってしまうを防ぐため、iPhoneは防水ケースに入れて使っていました。また、ラクダに乗りながらの写真撮影は正直安全とは言えないので、ストラップも付けていました。
砂漠のテントへ
ようやくラクダ乗車にも慣れてきて30分ほど経過したあたりで目的のテント近くに到着。うわさでは1時間くらいなどと聞いていましたが、我々のツアーはそこまで長くはなかったです。この程度であれば比較的楽だし飽きることもないでしょう。おしりも痛くなることはありませんでした。
テントにはラクダを降りてから徒歩で向かうようです。といっても100メートル程度離れているくらい。ということでラクダさんとは一旦お別れ。この場所に置いていくそうです。それにしても紐で縛る場所がないのにどう置いていくのでしょうか。実は、ラクダは座った状態で足を縛っておくと立てなります。人間で言えば、正座した状態で両方の太ももと足首をぐるぐる巻にする感じしょうか。この性質を利用して一晩この場所に待機させるそうです。
なんとまあ従順な動物さんだこと。でもちょっとかわいそうな気もしますが…。ちなみにホストのハッサン曰く「Here is a camel’s parking」。なかなかおもしろい表現。
ラクダさんに別れを告げ、テントに向かって歩き始めました。そして、すでに夕陽も沈み夜を迎えようとしていたころにテントに到着。ここが今晩お世話になるところです。
テントといってもかなり立派な布で覆われた小さな家といったところ。構成は寝室が3部屋、そしてキッチン、リビング。今夜は我々1組のみの利用。ホストが我々の寝室の準備をしてくれました。
その間、我々はテント周辺でサハラ砂漠を見学。辺り一面はすべて砂丘。生まれて初めての体験に感動。すると、たまたま近くを豪快に4WDのクルマが近くを通過していきました。とてもかっこいい、そしてとても楽しそう。乗り物酔いしそうですが、これはいつかやってみたいですね。
テントでの食事
僅かな時間ですがサファリ砂漠を満喫してから再びテントに戻ってくると、ちょうどホストさんが食事の準備をしようとしていました。興味半分見ていたら、「タジンの作り方を教えてあげるよ」と声をかけてきたので、二人で見学させてもらうことにしました。といっても立派なキッチンなどありません。タジン料理の作り方そのものにも興味がありますが、このような限られた場所でどのように料理を作るのかということもとても気になるところです。
基本調理にはまな板を使用しません。すべて小さいナイフを上手に使って、野菜の皮を剥くように材料を切っていきます。見事なてさばきでした。キャンプのときの参考になりそうです。
そして、切った玉ねぎをまず鍋の一番下に敷きます。
次にお肉をその上に載せます。お肉はもう塊ごと乗せる感じ。ナイフは使いませんでした。既にカットしたものを持ってきたのかもしれません。ちなみに、これはラムです。普段は安い鶏肉を使うのだとか。ラムを食べるのは観光客が来た時くらいだそうです。
そしてさらにその上に野菜を敷き詰めていきます。
全部乗せるとこうなります。雰囲気出てきましたね。
最後にソースを加えます。オリーブオイルをコップに適量加え、パプリカパウダー、クミン、この辺りは結構入れる感じ。そして塩コショウで味をととのえる。といったところでしょうか。分量は正直適当でよくわからなかったです(笑)。それ以外もなにか入れてたかな?適当でごめんなさい。しかし、クミンの香りがとてもモロッコ的な風味を醸し出します。毎日食べると飽きてきますが…。
さて加熱はガスコンロを用います。このテント内にはいくつかのガスボンベがありますので、その先にコンロの蓋(というのかこれは?)をつけますと、我々も家庭で使っていておなじみのガスコンロに変身。この上にタジン鍋を乗せるというわけです。調理場のようすはこのような感じでした。
なお、このガスボンベは灯り用などにも使ったりするそうです。砂漠の民もしっかりと現在文明の恩恵(といってもそう新しくもないけど)を受けているわけですね。もっともここは電波は通じませんので圏外ですが。
ちなみに調理用の水ですが、タジンのソースに使ったりスープ(別途作っていました)に使うものはミネラルウォーターを、食器を洗ったりする水は別途大きなタンクを運んできておりそれを使っていました。さすがにこちらは地元の水道水ではないかと思います。
さてさて、調理ができるまで、テント内でホストと歓談。ここでこの宿や砂漠ツアーの始めたきっかけ、彼の生い立ちなどを聞きました。まず生まれはここよりももう少し南側のエリア。どうも黒人とベルベル人のクォータのようです。昔、黒人はベルベル人の奴隷としてこの地方に連れてこられたそうです。このあたりでどのように育ったのかとか、どういう教育を受けてきたのかまでは聴けませんでしたが、成人して都会(カサブランカだったかな?)かどこかでホテルマンとして働き始めたんだそうです。そこでホテル関連のビジネスを学んだとか。しかし、やっぱりせっかく生まれた故郷の自然を活かした仕事をしたい、ということで、数年前に脱サラ、地元に戻りこのホテルとツアーを始めたそうです。
最近はネットをつかったプロモーションもしやすくなり、その影響もあって客足はまずまずとか。日本を始めとしたアジア人も泊まりにくるのだとか。私もAirbnb経由でここを知りましたからね。こうしてはるか遠い砂漠の民であっても、簡単に知り合うことができるって素晴らしい。しかし、去年辺りからISの影響もあり観光客が激減して困っているともいっていました。
と、そんな話をしている間に食事ができましたので、テント内で一緒にいただきました。
とてもおいしかったです。すでにあたりは真っ暗なので、ろうそくを灯しながらのお食事でした。
食後のデザートも。フルーツ満載。この国は本当にフルーツが多いです。
食後は、よくわからないベルベルの民族楽器の太鼓を一緒に叩いて遊びました。残念ながら暗くて写真を撮りそこねましたが、ボンゴのような形状で、片方が高音、もう一方が低音、時折リムを効果的に叩いて豊かなリズムを刻むものです。見よう見まねで叩いてみましたが、やっぱり楽譜は欲しいところ。しばらく叩くと手が痛くなってきたので、適当に切り上げて屋外に敷いてあるござに寝転がって星空を眺めました。
月明かりが明るすぎて星空はあまり見えず
サハラの夜といえばやはり星空、なのですが、実は好天にも関わらずあまり美しい星空を見ることができませんでした。
その理由は「月」です。[highlight]明るすぎる[/highlight]のです。この日は、ちょうど満月の時期。確かに月はきれいでしたが、なんだか残念な気持ちになりました。サハラ砂漠に泊まるときは、満月は避けたほうがよいかもしれません。月が明るすぎる、というのはそれはそれで贅沢な気もしますけど。
さらに砂漠のテントには、故障を恐れて一眼レフを持ってきていなかったので、きれいな月すら撮影できませんでした。ミラーレス一眼での撮影がせいいっぱい。これもとっても残念…。
満点の月と星空を眺め寝転がっていると、気がついたら眠りについていました。しかし夜中を過ぎると気温はさらに低下、半袖では寒くなってきたので、2時過ぎに一旦目覚め、テント内のベッドに移動。この頃はとても涼しく、毛布にくるまって心地よい睡眠が取れました。
砂漠の夜明け、日の出、そして朝食
そして、テント内で目覚めたのは朝6時ころでしょうか。いつもどおり自然に目覚めたと思います。携帯していた使い捨てコンタクトを装着して、テントを出て朝日を見に行きました。
まだ日の出前、正面に見えるのは月。まだまだはっきり見えています。
しかし、少しずつ周りが明るくなってきました。とても静かです。
そして、日の出。ああ、やっぱり一眼レフで撮影したかった…。
もちろん辺り一面すべて砂漠。素晴らしい朝です。天気も最高です。
しばらく朝日に映える砂漠の景色を堪能して時間を過ごします。
すると、ホストさんが小高い砂丘の上まで朝食を運んできてくれました。この丘に小さな椅子とテーブルがあります。ここで朝食をいただきました。
砂漠での朝食にしてはわりとしっかりしている感じでした。とてもさわやかな気分に慣れました。
らくだに乗って街に戻る
朝食後、しばらくの間、再び砂漠の景色を眺め周囲を散歩し、それから30分ちょっとしてから、テントを後にしてラクダのパーキングへと向かいました。
ラクダさん逃げてなくて安心。そして、ラクダに乗って再びハシラビットの街へと戻っていきます。もうラクダには慣れたし、昨日と比べるとほとんど風はなく心地よい帰路となりました。
ホテルに戻ると前日到着時と同様、ホテルの部屋でシャワーを浴びさせてもらいました。思った以上に砂が体や靴に付着してますので大変助かります。これはどうやらメルズーガ、ハシラビットで砂漠ツアーを行っている宿ではスタンダードなようですね。
砂漠テント泊の料金
さてさて、この砂漠テント泊ツアーについておさらい。
まず料金ですがホテル宿泊(といっても実際にはシャワールームと大きな荷物置きに使ったのみ)に、オプション料として[highlight]300ディルハム(ユーロ支払いもか、30ユーロ)[/highlight]かかります。これには、砂漠でのテント泊はもちろんのこと、ラクダでの移動、ミネラルウォーター1.5リットルが1本、夕食と朝食がすべて含まれます。なお、お水は別途500mlのものを自分で一本持って行きました。
夜の砂漠の季候
季節は5月上旬、砂漠というと朝晩の温度差が激しいと聞いていましたが、さすがに5月くらいになると温度は昼間ほど下がるとはいえ、15度程度でありそこまで寒くなることはないとのことでした。ということで、我々のような街から近いエリアのツアーであれば、基本移動中は普通の昼間の格好(日焼け止め、帽子、長袖等の対策はもちろん必要)でOKで、夜気温が下がったときように長袖の上着を一枚持っていく程度でOKだと思います。もちろん当日の季候にもよるので、服装については必ずホストに相談したほうがよいです。
仮にもっと寒くなった場合でも、多くのツアーで使うテント内にはベッドが設置してあり毛布があるようなので大丈夫でしょう。なお、夜の1時位に寝ようとしたときは毛布はまだ暑いかなと思いましたが、寝始めてから1時間くらいして少し寒くなったので、それからは毛布にくるまって寝ることにしました。もしかしたら3時、4時頃には10度くらいに気温が下がっていたのかもしれません。
そして、風ですが、これは日によるとは思います。我々の時は行きの夕方が若干強かった気がします。しかし砂嵐というほどではありませんでした。夜とその翌日は穏やか、ほぼ無風でした。ということで、ある程度の防砂対策をしておけば一眼レフは持っていけるのではないかと思いました。らくだに乗って移動中こそ一眼レフ撮影は無理ですが、到着した時の風の様子をみて使うかどうかを判断するのが賢明でしょう。もし、次の機会があれば是非持って行きたいところです。
その場でTripAdvisorに評価を入力、そして出発
シャワーを浴びてホテルのロビーでくつろいでいると、ホストから「TripAdvisorに評価を入力してくれー」と頼まれました。帰ってからゆっくり書こうかなとも思いましたが、大抵の場合は面倒だからわざわざ後で書かないですよね、それを見越してのその場での入力依頼なのでしょう。彼のノートPCを渡されて入力しようとしたのですが、キーボードが慣れていないフランス式のうえ、PCのキーボード自体も結構ぼろぼろだったので、自分のiPhoneのアプリでログインして入力しました。ただ、入力は英語、時折Google翻訳を利用しながらなんとか頑張って書いてみました。
その後、荷物をまとめていよいよ出発。ホストに別れを告げ1日ぶりのクルマに乗り込みます。
最後にもう一度メルズーガのサハラを眺めて。この日はフェズ方向に移動。旅もいよいよ終盤に近づいてきました。しかし、ここからはかなり距離があるので、途中の街で一泊する予定です。(続く)