訪問日時:2016年11月24日
プロヴァンスといえば温暖で落ち着いた、開放的な雰囲気、そして観光資源も豊富、というわけでフランスの中でもとりわけ好きなエリアです。美しい村も数多くあります。というわけで僕にとってはフランスの中でも訪問回数は特に多い街となっています。
訪問4回めにして初めての宿泊
アヴィニョンは、そのプロヴァンスの一中心都市といえるでしょう。今回、前の投稿でもご紹介しましたが、新しく登録されたフランスの最も美しい村「Lussan(ルッサン)」の訪問のため、たった3泊5日のフランス旅行を結構したわけですが、その旅でアヴィニョンに泊まることにしました。TGV駅があるのも便利であったことも理由の一つですが、実はこれまでで合計3回目もこの街を訪問しているにもかかわず、一度も宿泊したことがないこともあって、一度ゆっくりしてみたいなあと思った、これがアヴィニョンの宿を手配した理由です。
さて、美しい村巡りはもちろんレンタカーで。レンタカーの借りた場所はアヴィニョンのTGV駅(地図の左下あたり)。街の中心から結構離れているんですよね。
クルマで10分位の距離だったでしょうか。しかしうっかり返却場所も同じTGV駅にしてしまいました。そのためわざわざ旧市街まで戻る羽目になってしまいました。
アングラドン美術館は3月まで閉館!
さて訪問が4回とかいいつつも、いつも繁盛期に来ていたせいもあり実はアヴィニョンには訪れていないところが多い。確かにただ街を歩くだけでもいいのですが、寒いだろうから(実はそうでもありませんでしたが)今回はゆっくり美術館鑑賞でも、ということで近代現代のいいコレクションがあるというアングラドン美術館(Musée Angladon)へはじめに行くことにしました。幸いホテルからとても近い。
ところがなんと来年の3月まで工事のため閉館中とのこと。残念!
ちなみにウェブサイトは以下なのですが、トップ画面に思いっきり書いてあった!
しっかり下調べしておけばよかったです。
アヴィニョン法王庁
ということで、時間を持て余してしまった、そうはいってもそもそも街に入ったのが16時くらいですから大して時間があるわけでもない。この日最後に選んだのは、法王庁。やっぱりここなのか。ここは3回目になります。雨が降る閉館間近の法王庁にはほとんど観光客がいませんでしたので、おかげでゆっくりと鑑賞することができました。
相変わらずこのアヴィニョン幽閉の背景をよく理解しないまま毎回訪問していますが、なんど訪れても立派な建物の割に中は空洞だらけだと思います。
教皇はなぜ幽閉されここで過ごすようになったのか。しっかりと説明してあるパネルを発見。
今なら少しは読めるようにはなっていますが、やっぱり難しいですね。ウェブ上のウィキペディア情報とあわせて簡単に経緯を書いてみると、当時ローマ教皇庁の権威は失墜していておりフランス王の言いなり溶かしていたらしですが、1308年にこのアヴィニョンに法王庁を移転することになった数年後、ローマが神聖ローマ帝国に占領されてしまって帰れなくなってしまった、というのが歴史的事実のようです。
さて、教皇の部屋はとてもきれいでした。なんとなくオリエンタルな雰囲気を感じました、残念ながら撮影禁止é
しかし3回も訪れているのに全然記憶がなかったです。記憶が無いのはいろいろありまして、例えばこの改修工事中のチャペルとか。
みたことがあるのでしょうか。如何に普段からいい加減に観光しているのかという証拠です。
ちなみにいまでこそ観光地としての賑わいを見せているアヴィニョンも当時ではローマからかなり離れていた西方の田舎ですからね。街も正直お世辞にもきれいではなく不衛生だったそうです。
法王庁のなりたちとその発展に関しての上映ビデオ、あったようななかったような。本当に適当にしか観光していなかったんだなあと実感させられました。
アヴィニョンで評判のレストランへ
法王庁訪問を終えて、少し近くで日用品を買ってからホテルへと戻ってきました。この日の夜はレストランを予約していました。こちらのレストラン、TripAdvisorではこの街で一番の評価でした。
メールで事前予約できるのがいいですね。一応だいぶ勉強はしてきているとはいえども、まだまだ不慣れなフランス語で数日前に予約。24時間以内に返信はこなかったのでちょっと心配でしたが、2日後にご丁寧な返信をいただきました。
さて、予約したのは20時から、法王庁から戻ってから少し予約時間まであったので、ホテルで1時間ほど睡眠してから向かいました。先程工事中につき入ることができなかったアングラドン美術館の裏手にあります。ということでとても近くてよかったです。
やや強い雨の降りしきる中、予約時間の20時ほぼぴったりに到着。日本で言うならおかみさんに該当するでしょうマダムが快く迎えてくれました。
店内はテーブル席がどうやら予約でほぼいっぱいの様子ですが、来たばかりの頃はそれほど席は埋まっていませんでした。アジア人女性が2人ほど、それぞれ一人で来ていたようです。日本人ではなさそうでした。
いただいたものはオーソドックスに前菜とメインを選ぶコースを。といっても小さな街のビストロなので、いわゆる星付きレストランのような豪華なアートな感じの料理、というわけではありません。
まず前菜ですが、「ブルー・ドーヴェルニュとくるみを添えたビート(てんさい)のカルパッチョ、フランボワーズドレッシングで」「carpaccio de betterave, bleu d’Auvergne et noix servis avec vinaigrette à la framboise」
ビートがなにかわからなかったのですが、なんとなく野菜なのかなあとは思いました。不思議な触感と味わいです。はじめての経験と言っても過言ではないでしょう。ブルーチーズとくるみそしてフランボワーズドレッシングのバランスは絶妙でした。ただしフランボワーズやビーツの甘さはちょっと強めでした。
そしてメイン。こちらは「マグレ・ド・カナール、りんごとシードルのソース」 「magret de canard aux pommes et cidre, légumes poêle, écrasé de pommes de terre」 を選びました。
違う角度からもう一度。
これがボリューム感あるのにとてもさっぱりしていて最高の味でした。どうしてもマグレ・ド・カナールというと赤ワイン系のソースを連想してしまいますが、それがりんごを主体としたものというのは意外であり、これまた初体験となりました。
さて、ワインですが地元のワインをピッチャー(50cl)でいただきました。フランス語で説明を受けましたが、私が理解できた範囲では、このワインはこのアヴィニョンから50kmくらいのところで造られたワインとのことでした。
グルナッシュメインのワイン。グルナッシュはベリーの味わい、フランボワーズの味わいがほのかにする感じの味わいです。正直シラーの方が好みでしたが、この日に訪れたシャトーヌフ・デュ・パプで飲んだワイン、そしてこのレストランで飲んだワインで、グルナッシュのよさに気が付き始めた気がします。コードデュローヌでもポピュラーは品種のひとつ。このあたりのワインもいろいろ学んでみたいなと思いました。
最後にデザート。フロマージュにしました。これもまたなかなかのしっかりとした一品。
もしかしたら聞き間違えたのかもしれませんが、一番上のハードタイプのフロマージュは、どうやらロックフォール産だということです。ロックフォールといえばブルーチーズで特に有名ですがハードタイプのものも生産している、ということでしょうか。しかし、フランス語でハードタイプのチーズのことを fromage à pâte pressée cuite というのですが、「fromage à pâte pressée cuite Roquefort」とググってもなかなか該当するものにヒットせず。やはり聞き間違えだったのでしょう。では普通のブルー、いやしかしロックフォールなら食べたらわかるはず。いずれにせよ本件は謎ですが、フロマージュとても美味しかったです。
この日のメニューは以上です。素晴らしいお料理、しかも非常にリーズナブルな料金、さらには親切な対応。
感謝の言葉を述べてお店をあとにしました。なんだかアヴィニョンは結局レストランがメインの観光となってしまいましたね。
このシリーズあとちょっとだけ続きます。おそらく。