訪問日時:2017年9月26日、午後2時頃
2017年9月の旅行において大きなテーマのひとつであったのは「ル・コルビュジエ」。正直建築に関しては全く無知であり、単にこの前年にル・コルビュジエの作品群が世界遺産に認定されたから知りうることができたのですが、気がつけばこの2年余りでスイスとフランスの数多くのコルビュジエ作品を直に見る機会に恵まれ、すっかり大ファンになっていました。
今回の旅行ではスイスで次の2箇所のル・コルビュジエ作品を見に行っています。
ル・コルビュジェ建築巡り スイス編その1「メゾン・ブランシュ(Maison Blanche)」、2017年9月スイス・フランス旅行記 No.8
ル・コルビュジェ建築巡り スイス編その2「ヴィッラ・ル・ラック(Villa Le Lac)」、2017年9月スイス・フランス旅行記 No.9
さらにはこのときには彼の生まれ故郷「ラ・ショー・ド・フォン」まで行ってしまいました。これもまた単にこの街が世界遺産だから行ったまでですが、ラ・ショー・ド・フォンに行くまではル・コルビュジエがこの街の出身であることすら知りませんでした。
今回の旅行ではフランスでも2箇所のル・コルビュジエ建築を訪問しました。今回ご紹介するパリ郊外ポワシーにある「サヴォア邸」は、ル・コルビュジエ建築の中でも最高傑作の一つであり、最も有名な作品です。1928年竣工、1932年に完成したこのサヴォア邸は、ル・コルビュジエが提唱した「近代建築の五原則(Les cinq points de l’architecture nouvelle)」のすべてが実現された建築とも言われています。
戦時中はドイツ軍、その後は連合国による専有が続き一部破損等が進みましたが、ポワシー市が1958年に高校建築のためサヴォア家から買い取り、その後、1962年に国へと譲渡、そしてその普遍的価値にあらためて気付かされ、翌年1963年から1997年にかけて改修がなされたということです。
サヴォア邸、国の保有のためか、開館日時は多いです。原則、月曜日以外であれば見学することができます。
施設に所属する駐車場はありませんが、郊外の街なので少し離れたところに無料で停めることができる駐車スペースがあり、僕はそこにクルマを停めました。パリ郊外なのでなにかしらの公共交通機関で行くこともできると思います。いつもながら公共交通機関に関する情報はわからずです。
まず入り口、確か自分で開けて入ることができたと思います。スイスのメゾンブランシュやこの後ご紹介するパリ市内のロッシュ邸は入り口で呼びベルを鳴らさないといけませんでした。
中に入り入場料を支払い、パンフレットを貰って自由に見学ができます。学芸員さんが数人いるので、フランス語もしくは現地語で解説もしてもらえるようです。 パンフレットはこちら。頑張ってフランス語をもらいましたが、英語版もあったはずです。
グランドフロア、1階、2階についての詳しい解説がされています。 以下、印象的だったところを写真付きで簡単にご紹介します。まずはいってすぐのグランドフロアのホールが大変美しかったです。
訪問時には天気が曇りとなってしまい、やや暗いという印象を受けましたが、そう入ってもこれだけ窓の多い構造なので、コルビュジエ以前の建築と比較すれば十分に明るいと言えるでしょう。こうした様式は現在では常識となっているところもおおいためか、我々は気が付きにくいのでしょう。でも実はそれこそ彼の偉大さのひとつともいえるわけです。
上の階にはスロープもしくは螺旋階段のどちらからでも上がることができます。美しい曲線のデザイン。
さて1階(日本で言うところの2階)ですが、今見ても斬新でおしゃれな空間。
ですが、部屋のほぼ中央にこんなおしゃれ感満載のお風呂場があったり、もちろん人が住む目的で作られたので機能としては問題はないと思うのですが、正直、落ち着かないですね笑。
1階にも屋外に庭園が、そしてその上にも庭園があります。庭園というよりも現代的な間隔からすると屋上のテラス、といった印象です。
現在の視点からすると、デザイナーズマンション、といったところなのですが、約80年前ということを考慮するとものすごく画期的なデザインだったということは強く実感しました。今こうした建築が作られたとしても十分に斬新だと思えることでしょう。外見や内装の写真を見るだけだとイマイチこの建築物のすばらしさが実感できないのですが、ここからいろいろな影響を受けた建築物か生まれたことを想像すると、じわじわとサヴォア邸の素晴らしさに浸ることができる、そんな感想を持ちました。
小さいところなので30分程度の鑑賞時間だったと思います。もう少しこの日は時間があったので、パリ市内にあるもう一つのル・コルビュジエ作品へと向かいました。次回ご紹介します。